2016 Fiscal Year Research-status Report
南アジア系移民企業家と移民システムのエスニック集団別特徴に関する社会学的研究
Project/Area Number |
15K03837
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
福田 友子 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (40584850)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 社会学 / 移民研究 / 中古車 / 中古部品 / ハラール食品 / インド料理 / イスラーム / 南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目(2016年度)は、文献調査、国内調査を進めるとともに、海外調査および国際学会での成果報告を行った。さらに2017年5月刊行予定の共著書の執筆も進めた。 文献調査においては、難民研究とエスニック・ビジネス研究の接合について検討を始めた。これまで検討してこなかった新たな研究課題であり、今後の展開を考え準備を進めた。 国内調査については、千葉県内・東京都内を中心に調査を実施した。第1に、四街道市におけるアフガニスタン人移民企業家の経済的活動に関する調査を実施した。この調査を通じて四街道市もしくは佐倉市が持つ地域の独自性が改めて浮き彫りになった。第2に、千葉県内の宗教施設(継続2件)でフィールド調査を実施した。第3に都内の宗教施設(継続1件)やハラール食品産業(レストラン、食材店)でフィールド調査を実施した。 海外調査については、7~8月にアメリカでフィールド調査を実施した。調査協力者の紹介により、今回は地方都市(モンタナ州)及び西海岸の大都市(ロスアンジェルス近郊)における移民のコミュニティ形成とイスラームの宗教実践を中心に調査した。その結果、過去2回の東海岸調査(ニューヨーク近郊)で得たデータとはかなり異なる状況が確認された。アメリカ内部の多様性を痛感したと共に、移民のコミュニティ形成や社会適応は、同一ホスト国内であっても安易にモデル化できないことを再確認した。 国際学会での成果報告については、10月(日本、名古屋)、11月(カタール、ドーハ)12月(ニュージーランド、クライストチャーチ)の3件に参加した。国際会議の日程がたまたま連続して大変だったが、各発表後にはオーディエンスから建設的なコメントを得ることができ、新たな着想も得た。加えて将来的な国際共同研究の相談をする機会もあり、研究上のネットワークを広げることもできて、大変有意義な機会であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1年目(2015年度)に研究の進捗がやや遅れたため、その遅れを取り戻すべく、積極的に国内外での調査研究を進めた。とりわけ国際学会発表については、複数の学会から採択を受けたため、予想以上の過密日程となり、学内外の関係各所にも調整を依頼する事態となったが、周囲の理解もあって、無事3件の成果報告を完遂することができた。 さらに共著書の執筆作業がようやく終わり、ほぼ当初の予定通り、2017年5月には刊行される見込みとなった。原稿執筆の過程においては、古いデータと新しいデータを再構成する作業に苦労したが、その作業の中から新たな研究課題を見つけることもできた。本研究課題の最大のテーマである、中古品リユース・リサイクル業界における南アジア系移民企業家の位置づけに関しては、近年の研究成果を一つにまとめることができたのではないか、と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
3年目(2017年度)は、まずは6月まで国内調査に専念する。7月以降は、ニュージーランドに1年間滞在する予定なので、ニュージーランド及び太平洋島嶼国での調査研究を計画している。 文献調査については、6月までは日本語文献の収集に集中する。7月以降は、現地でしか入手できないような文献資料を優先しつつ資料収集を進めたい。 また当初、海外研究協力者として想定していた人物が、その後所属先を異動となったため、計画していた共同調査の実現は困難であることが判明した。今後は別の人物に研究協力を要請する予定である。
|
Causes of Carryover |
1年目(2015年度)の未使用額(繰越額)が大きかったので、その一部がまだ残っている。また3~4年目(2017~18年度)に1年間の海外滞在が決まっており、その間の支出が増えることが予想されるため、予算を多めに確保しておきたいと考えた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題においては、国内および海外での現地調査が最も重要であることから、経費の多くは旅費にあてる。とりわけ3~4年目(2017~18年度)に1年間の海外滞在を予定していることから、その間の調査経費に充当する。また英語の文献資料などで、現地でないと入手しにくいような資料については、積極的に収集していきたい。
|