2016 Fiscal Year Research-status Report
アジアの中のステレオタイプ「反日」と「親日」―対日感情差異の要因分析
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15K03867
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
大野 俊 清泉女子大学, 文学部, 教授 (10448409)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 親日 / 反日 / 対日感情 / ステレオタイプ / アジア / メディア文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2006年3月初旬、日本軍政を経験し、独立前後には日本の官民の支援を受けた東ティモールを訪問し、ディリ市とその近郊で滞在した。この間、幅広い世代の政治家、マスメディア関係者、NGOスタッフ、大学教員・学生、日本大使館書記官らと面談し、東ティモール人の対日観に関する聴き取り調査を実施した。 ここでは、所属先の大学の母体・カトリック聖心侍女修道会の派遣で長くディリに駐在している中村葉子シスターに、通訳・面談予約などの面で全面的な協力を得ることができ、4日間という短期間ながら、対日イメージや認識についてのキーインフォーマント20数名に面談することができた。東ティモールでの調査後、同様に日本軍政を経験し、戦後は人の移動・交流の面で日本と関わりが極めて深いインドネシア・バリ島に6日間、滞在し、対日観に関わる面談調査を実施した。ここでは、サラスワティ外国語大学日本学科教員らの協力を得て、残留元日本兵のインドネシア人妻や二男、マスメディア幹部、大学教員、看護学校の生徒らに面談やグループ・インタビューを実施した。 さらに、2017年3月の1週間、韓国のソウルと釜山に滞在し、東亜日報の有力記者、大学教員、シンクタンクの研究員、元慰安婦支援団体理事長、日本大使館幹部、一般市民らを対象に面談調査を実施した。 東ティモールでの調査の成果については、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター年報第14号(2017年)で論文として、またバリ島での研究成果は、『清泉文苑』第34号(2017年)で論考としてそれぞれ発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年度は、所属先の大学で学科主任の要職に就き、学期休みの期間中も海外フィールドワークの引率指導ほか、様々な学務業務に追われた。このため、本プロジェクトで主要な研究手法である、近隣アジア諸国での現地調査にあてる時間を十分に確保できなかった。海外調査ができたのは、3月入試の終了直後や卒業式終了など、限られた時期になった。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、まだ現地調査が実施できていない中国の都市部と地方で、中国社会科学院の研究者らの協力を得ながら、関係者からの聴き取り調査の実施を考えている。 韓国では、2017年5月の大統領選挙で誕生した文在寅政権の対日政策を踏まえ、日韓両国での追加調査を計画している。 また、比較的に日本に好意的感情を持っている市民が多いと言われるフィリピンや台湾などでも、より深い聴き取り調査や、文献調査を考えている。 これまでの研究成果については、2017年度に開催の学会(カルチュラル・タイフーンなど)での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
2016年度は、前述の理由で調査に充てる時間が限られ、アジアの広域地域での現地調査が十分にできなかった。このため、かなりの額の研究費が翌年度に繰り越しになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度は、中国、フィリピン、台湾など、アジアのできるだけ広域地域で、キーインフォーマントからの聴き取りを中心とした現地調査を実施し、これまで以上の成果を上げる予定である。
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Research Products
(4 results)