2017 Fiscal Year Annual Research Report
Xenophobia in Germany as a "Country of Immigration: The Nation-State in Globalization
Project/Area Number |
15K03874
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
佐藤 成基 法政大学, 社会学部, 教授 (90292466)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 右翼ポピュリズム / AfD / グローバル化 / ナショナリズム / ドイツ / 排外主義 / 国民国家 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究の最終年度にあたる2017年度は,反移民・反ムスリムを主張する右翼ポピュリスト政党であるAfDが連邦議会に進出した。研究代表者はこの1年間,AfDの動向を追うことに力を注ぎつつ,それを欧州の右翼ポピュリスト政党台頭というより広範な現象のなかにいかに位置付けて理解するかという問題について考察を深めた。 今年度注目したのは,2017年から2018年にかけて,ドイツで多くの(しかも質の高い)AfD研究が次々と公刊されたということである。それは大きく言って2つのグループにわかれる。第一はジャーナリストが現場取材を踏まえて書いたものであり,それはAfD内部の派閥闘争をめぐる複雑な事情を明らかにしている。第二のグループは社会科学的な手法を用いてAfD支持者の分析を行ったもので,学者やドイツ国内の各種研究機関によって行われたものであった。それによれば,AfDはよく言われるような社会経済的な「脱落者」の政党ではなく,その支持者には収入,教育レベルともドイツ社会の中間層に属する人々が多い。また,AfDの支持者の多い地域が,高齢化が進み,手工業・製造業など「脱工業化」されていない産業が中心の「衰退しつつある」地域であることが明らかにされている。そのような地域の人々の間にある,国家の移転給付から「見捨てられている」という感情が,AfD支持につながると考えることができる。 AfDは,移民・難民などの「アウトサーダー」を優先し,自国民を二の次に回しているように見える連邦政府や主要政党を批判し,「自国民優先」を主張するところにその特徴があると考えられる。研究代表者はこのようなAfDを(欧州の翼ポピュリズム政党全体をも含めて),従来の「左対右」の対立軸に回収させて理解するのではなく,それとは相対的に自立した「グローバル対ナショナル」という対立軸で捉え直すことを提唱したい。
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Research Products
(1 results)