2017 Fiscal Year Research-status Report
戦後アメリカ移住日本人女性のエスニック・ネットワーク形成に関する研究
Project/Area Number |
15K03879
|
Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
中西 祐子 武蔵大学, 社会学部, 教授 (90282904)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | エスニック・ネットワーク / 日系女性移民 / アメリカ / ソーシャル・キャピタル / エスニシティ / ジェンダー / 国際移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は主として以下の4つの研究活動を行った。 (1)8月下旬~9月初頭にかけて、サンフランシスコ・ベイエリア地域への移住者が設立した日系福祉団体の関係者や、企業経営者へのインタビューを行った。インタビューでは各団体の設立期から今日までの歴史、主な事業、参加者や活動内容の変化、団体の設置されている地域の日系移住女性たちの近況について情報収集した。また、同時期にUCバークレー校図書館において、日系団体関連の所蔵資料を閲覧、コピーした。 (2)11月に日本社会学会第90回大会(於:東京大学)において「『ライフスタイル移住』に関するジェンダー論的考察―戦後アメリカに移住した日本人女性たちへのライフヒストリーインタビューをもとに―」をタイトルとする口頭発表を行った。同発表では、これまでの調査データの分析結果をもとに、日本からアメリカへの女性移住者たちが「ライフスタイル移住」のカテゴリーでとらえることができることを論じ、彼女たちの移住の背景にある日米社会のジェンダー構造について考察した。 (3)プリンストン大学が公開しているアメリカ新移民調査のオープンデータセット New Immigrant Survey を分析し、アメリカ社会全体における新移民の国際移動、移住後の職業達成、その学歴格差、ジェンダー間格差、エスニックグループ間格差の現況について考察した。 (4)共著書籍(石川由香里・杉原名穂子・喜多加実代・中西祐子『子育て世代のソーシャル・キャピタル』)の第2章「教育とソーシャル・キャピタル」を執筆した。同論文においては、国際移住者が移住先の社会で活用するエスニック・ネットワークが、移住者たちの子育てネットワークとしても活用されていること、それらが現地におけるソーシャル・キャピタルとしての機能を果たしていることについて言及したいくつかの先行研究の知見をまとめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では現地の戦後日系移住者を対象とするインターネットを利用した質問紙調査を行う予定であったが、アメリカ社会における移民全体のライフヒストリーを詳細に調査した New Immigrant Survey のオープンデータの分析が可能であることが分かった。自身のインターネット調査をするより前に、同調査の質問項目の点検やアメリカ社会全体での移民の動向の確認をすることが重要であると判断したため、自身のインターネット調査の実施時期を延期した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2018年度は以下の作業を行う予定である。 (1)New Immigrant Surveyを用いたアメリカ新移民の動向の分析を引き続き進める。(2)(1)の分析結果を手掛かりに、戦後アメリカに移住した日本人を対象にしたインターネット質問紙調査を行う。(3)戦後アメリカへの移住者へのインタビューを行うとともに、移住者たちが作っている日系コミュニティについて調査する。(4)エスニック・コミュニティ、国際移動、社会関係資本、ジェンダーに関する先行研究および最新の研究動向について引き続き情報を収集する。(5)これまでの研究の総合的知見をまとめる。
|
Causes of Carryover |
(理由) 当初2017年度中に実施予定であったインターネットを利用した質問紙調査の実施を2018年度に延期したため、次年度使用額が発生した。 (使用計画) インターネット利用の質問紙調査については2018年度中に実施することを計画しており、その費用として使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)