2017 Fiscal Year Annual Research Report
Impact of the reduction of family expenses for early childhood and educational services on the increase in birth rates: A study of Sweden, France, and local governments in Japan
Project/Area Number |
15K03889
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
大岡 頼光 中京大学, 現代社会学部, 教授 (80329656)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教育の無償化 / 高卒 / 社会人大学生 / 成長戦略 / 高齢者 / 貧困率 / 増税 / 選挙 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、保育・教育費の家族負担を減らし、人口減への対策を行う財源を作るため、高卒の社会人の大学入学を公費で促す必要があることを明らかにした。 人口減の中で、すべての子ども・若者が能力を伸ばすためには、貧困な子どもにも早くから就学前教育をした上で、大卒が増えれば長期的には税収が増えるので、大学にも税を投入すべきである。特に、①大学教育費の親負担を廃止し、公費による高卒の社会人入学を促して大卒を増やすという成長戦略をとるべきこと、②高卒の社会人入学を促し、国民全員に高等教育機会を保証することで、大学教育の公費負担への社会的合意もつくり出せることを明らかにした。実現には増税が必要なため、「税は取られるだけ」という「予言の自己成就」の悪循環を断ち切る必要がある。高所得者の進学が多い大学教育費を税で賄うことへの納得を、低所得のため大学進学できなかった高卒者から得るには、税による公費を財源とする、高卒社会人の大学入学の拡大が必要である。 第二に、人口減対策を行う財源を確保するには、高齢者も納得する増税が必要である。高齢者負担増となる社会保障目的税CSG の増税を唱えたマクロンが、フランス大統領選挙に勝てた背景を分析した。CSG は年金、資産所得、投資益等を対象とし、所得税より広範な所得を課税対象とする。労使拠出の社会保険料が中心の社会保障財源を、広く国民に負担してもらうようにした。 高齢者への増税を唱えたマクロンを、高齢者が支持したのはなぜか。マクロン支持は、仏の高齢者の貧困率が若い世代の貧困率より低いからだ。一方、日本は高齢者の貧困率が高い。増税を納得できるだけの年金を前提としたCSG は、スウェーデンの課税給付金(「全員が税負担できるよう、十分給付する」)に似る。日本は高齢者の貧困率が高いため、増税を唱えると選挙に負けやすい。増税するには、高齢者の貧困状況の改善が必要である。
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Research Products
(4 results)