2018 Fiscal Year Annual Research Report
Globalization of universities and research institutes: Individual experiences and their assesment
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15K03899
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
酒井 千絵 関西大学, 社会学部, 准教授 (30510680)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グローバル化 / 高等教育 / 多文化社会 / 社会学 / 外国語 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、研究最終年を一年延長し、これまでに得られた調査データの整理を行い、論文の執筆をすすめるとともに、今後の研究として、以下の2つの方向性を認識し、インタビュー、政策資料の分析、参与観察を用いたデータ収集を行った。 第1の研究課題は、日本における大学の国際化を他の国における高等教育や研究機関の現状と対比するという課題である。本年度はまず、日本の大学に対するグローバル化の圧力のなかで、増大する英語使用に対する支援等について聞き取りを行った。さらにカナダ、中国、シンガポールでの国際学会参加の機会を利用して、研究報告への参加者の出身国等も含め、国際化への認識の相違を検討した。研究を国際化することが多くの国・地域で重要な課題となるなかで、主な使用言語や国内の高等教育の規模によって、国際化が持つ意味には相違がある。シンガポールに代表されるアジア域内のグローバル都市における研究機関は、研究言語を英語に統一することで、各国での学位取得者がポスドクとして研究を継続するための魅力的な中心となっていた。他方、中国や日本では、依然として地域語による研究やその発表が重要な意味を持ち、特に人文社会系では、英語での研究遂行や報告は、補完的なものになっている。 第2の研究課題は日本で学ぶ留学生への調査である。日本の大学ではグローバル化が目標として掲げられる際には、英語による授業の設定や、研究及び教務に関する事務の英語対応などが中心となるが、実際に日本で学ぶ留学生の多くは中国を中心とするアジア圏からきている。他方、中国人留学生への聞き取りでは、日本の大衆文化への関心から日本を選択した者が一定数いるが、同時に中国国内での人気のある留学先は既に欧米英語圏であり、日本はやむを得ない選択と語る者が少なくない。日本が留学生にとって魅力的な場となりうるのか、何が求められているのかを検討する必要がある。
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Research Products
(3 results)