2016 Fiscal Year Research-status Report
家計の管理運用における加齢の影響に関する認知科学的基盤の検討
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15K04048
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| Research Institution | Kobe Gakuin University |
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Principal Investigator |
秋山 学 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (10252743)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 寛之 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (30202112)
長谷川 千洋 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (80551390)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 家計管理 / 消費行動 / ニューメラシー / 金融リテラシー / 詐欺被害 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
ニューメラシー(numeracy)とは，確率や尤度を含む数値情報の理解や処理に関する能力として捉えられる。本研究では広田（2015）にならい数学などにおける抽象的で高度な記号操作能力より、むしろ、家計管理など消費者の日常的な金銭管理で必要な能力を念頭においた構成概念として捉える。2016年度の研究においては，高齢者を含む学生以外の一般成人1,125名を調査対象者とするWEB調査を行い，短縮版ニューメラシー尺度（Weller et al., 2013）の構成の改めての検討や金融リテラシー（Gathergood, 2012)との関連を検討した。その結果，ニューメラシーが特に低い群においては，複利による借財返済期間を尋ねるなど金融リテラシーの設問項目において難易度が高い場合に回答を偶然に委ねてしまう傾向が強いことを指摘するとともに、こうした回答傾向が必ずしもニューメラシーの低さの主観評価を反映したものではない可能性を指摘した。加えて、ニューメラシーが特に低い群においては、詐欺被害経験率が高くなる傾向が見られ、詐欺被害への脆弱性がうかがえた。また、短縮版ニューメラシー尺度の下位項目の一部をなすCognitive Reflection Test(Frederick,2005)に由来する項目の回答には割り算や小数処理に関する数的理解不足が影響する可能性を示唆された。
また，上述の研究と平行して，ゲーミング・シミュレーションを用いて環境配慮行動における次世代を考慮することの影響を検討した。その結果，家計管理と関わりの深い環境配慮行動において，自らの日常的な生活習慣による環境負荷の帰結が後続する世代に影響を及ぼすことを，ゲーミング・シミュレーションの中で可視化することにより，日常的な環境配慮行動の行動意図を高めることを示唆した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究進捗状況としては，当初見通しに比べ，遅れている。本来であれば，短縮版numeracy尺度の検討と邦文版の作成を行ない，短縮版numeracy尺度に関する邦文版作成における研究成果を論文として投稿するとともに，実際の金銭運用に関する意思決定を反映したIowa Gambling Task(IGT)を用いた実験を中・高齢者対象に行う予定であったが，残念ながらこの実験が未実施である。こうした研究進捗の遅延の原因は研究代表者が本務校において公認心理師への対応の責任者となり，公務に相当程度の時間が割かれたためである。2017年度は，研究遅延の原因を研究協力者を募ることなどにより改善を行い，研究を着実に進捗させる諸準備を急ぎ進めてゆきたい。
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| Strategy for Future Research Activity |
2017年度は，短縮版numeracy尺度の検討と邦文版の作成を行なった研究成果を学術論文として投稿することを行うとともに，昨年度実施予定であった，実際の金銭運用に関する意思決定を反映したIowa Gambling Task(IGT)を用いて，具体的に利得・損出が目前で発生する場面におけるIGTの利得情報を事前に開示する影響に加齢がどのように介在するかを実験的に検討する予定である。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由としては次の2点がある。
1. 中・高齢者を実験参加者とするIowa Gambling Taskの実施が2016年度に実施できなかったため，この実験を行うための実験参加者への謝金や実験補助および実験データ解析補助への謝金などの支出がなされなかった。
2. 2015年度に研究代表者が本務校より競争的研究資金を獲得したため，科学研究費からの支出が減少したことも，2016年度の科学研究費の未使用額が増える理由の一つとなった。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
中・高齢者を実験参加者とするIowa Gambling Taskの実施のため，実験参加者への謝金や実験補助および実験データ解析補助への謝金，生理心理学的測定に用いるディスポ電極など消耗品購入や，実験実施ソフトウェアの更新，研究成果発表のための学会出張旅費や，論文投稿のための英文校閲費用などを科学研究費より支出する予定である。
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