2016 Fiscal Year Research-status Report
発達障害におけるコミュニケーションの文脈に視点をおいた音楽療法プログラムの構造化
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15K04097
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
松本 佳久子 武庫川女子大学, 音楽学部, 准教授 (90550765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 正芳 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (60166387)
猪狩 裕史 名古屋音楽大学, 音楽学部, 講師(移行) (70751569)
矢野 環 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (10111410)
一ノ瀬 智子 武庫川女子大学, 音楽学部, 准教授 (80388800)
竹原 直美 武庫川女子大学, 音楽学部, 助教 (90707324)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 音楽療法 / 発達障害 / 計量テキスト分析 / 文脈 / 全言語コミュニケーション / 矯正教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)臨床データの蓄積とデータベース化:発達障害及びその疑いのある障害児者への音楽療法における関与観察を通じて前言語的・言語的臨床データを蓄積し、既存の心理尺度に基づきカテゴライズを行った。 (2)臨床データの質的・量的分析:大学付属機関である音楽療法研究室並びに放課後等デイサービス、行刑施設内において、発達障害及びその疑いのある障害児者への音楽療法プログラムを導入し、これら臨床の場における前言語的・言語的データからテキストデータを抽出した。さらに(1)におけるカテゴライズに沿ってコーディングを行なった。なお、コーディングに際しては、言語のみならず非言語的要素である「沈黙」「オノマトペ」「身振り」などの情動表出にも着目し、テキストデータに含めた。このことは、臨床の場における関係性や文脈の変化に着目する本研究の分析部分において、非常に重要なポイントとなる。これらの臨床データを計量テキスト分析(対応分析並びに共起ネットワーク)を通じて検討し、また集団療法に適用可能な既存の心理的評価尺度と併用することにより、臨床的変化の可視化を図った。また量的分析と併せて、映像記録の逐語録や関与観察から得られたデータの記述的記録から、意味論的分析を行った。 (3)時間・空間的文脈に着目した音楽療法プログラムの検討と公共化:上述したデータの蓄積とカテゴライズ、並びに時間・空間的文脈に着目した分析結果に基づき、発達障害及びその疑いのある対象者に対して、音楽療法プログラム「大切な音楽の語り(Musical Narrative)」を導入し、その成果を第16回日本音楽療法学会(仙台)のほか、大阪矯正実務研究会など関連学会において発表した。このことにより、新たに2箇所の関連施設から本研究の音楽療法プログラム導入の要望があり、本年度は、これら施設との連携の下で具体的導入に向けて検討を始めるなど公共化を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度においては、発達障がい児者の臨床の場において、「臨床データ収集とカテゴライズ」「時間・空間的文脈に着目した音楽療法プログラムの検討と導入」の2点において進んでおり、臨床の場に適用した事例研究の成果については、学術大会や関連領域の研究会において中間報告を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に引き続き、定型発達児者並びに発達障がい児者において本研究による音楽療法プログラムを導入し、映像記録の分析を進める。また臨床の場における前言語的情動表出データの抽出とカテゴライズを検討し、臨床の場における言語的、前言語的コミュニケーションの特徴を踏まえた辞書を作成する。これらのことにより、臨床の場における関係の生成と変容のアセスメント/評価方法について検討する。 さらに、平成29年度から新たに加わった新規2施設をはじめとする臨床の場において、これら音楽療法プログラムを適用しつつ実証的研究を進める。 以上の方策を進めることにより、発達障がい児者のニーズに即した音楽療法プログラムの構築と評価分析方法の精緻化を図る。
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Causes of Carryover |
本研究における協力施設は本研究代表者との共同研究協定下において実施したため、同施設ならびに施設利用者個々に対する研究協力謝金等の支払いはなかった。 記録分析用ノートパソコン購入に際し、対応モデル(MacBook pro)が移行期にあたっていたため、互換性と経済的有利性を考慮し、入手時期を次年度に以降した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度は、本研究の成果報告のため、国際学会(発表確定)ならびに国際ジャーナルに投稿予定であり、それに伴う旅費や謝礼を執行する予定である。 また、記録分析用ノートパソコンを調達することにより、協力施設内にて管理されている臨床データの分析をすすめる。
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Research Products
(5 results)