2019 Fiscal Year Annual Research Report
The study of anger rumination in clinical perspective
Project/Area Number |
15K04155
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Research Institution | Gihu University of Medical Science |
Principal Investigator |
八田 武俊 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 准教授 (80440585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八田 純子 愛知学院大学, 心身科学部, 准教授 (40454318)
田村 達 岩手県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (10515109)
及川 祐一 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助手 (10722481)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 怒り反すう |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度も、若年者と高齢者を対象に、非意図的で再帰的な思考である怒り反すうと不適切で侵入的な思考が反復的かつ持続的に体験される強迫性障害や不安障害などの精神疾患との関連を検討する質問紙を実施した。若年者における結果は、怒り反すう特性の得点が神経症や不安障害、抑うつ、PTSDを測定する尺度と有意な正の相関関係にあることを示していた。しかし、年齢を調整変数とした高齢者に関する相関分析では、怒り反すうと抑うつとの関連のみが有意傾向であった。 つぎに、怒り反すうは思考抑制に関する制御過程の失敗と考えられることから、ワーキング・メモリーなどの注意や抑制を司る認知機能との関連を検討するために、若年者と高齢者を対象に認知機能の測定を行った。若年者における相関分析の結果は、怒り反すう特性が記憶や抑制機能の低さと関連することを示唆している。なお、高齢者においては、年齢を調整変数とした相関分析の結果、有意な相関関係は示されなかった。 最後に、怒り反すうを緩和させる方法として心拍変動バイオフィードバックがもたらす影響の検討するために実験を続けたが、学内の研究倫理審査や実験の性質上、研究全体と通して、科学的な妥当性を満たすのに十分なデータを得ることができなかった。 研究全体を通して、怒り反すう特性は他の精神疾患とも関連する可能性が示唆され、それは若年者において顕著であるが、高齢者ではそうした可能性は示されなかった。さらに、若年者において、怒り反すうと抑制機能との関連が示された。このことは怒り反すう特性のメカニズムとして認知機能が関わっているということを明らかにした点で有意義である。
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Research Products
(1 results)