2017 Fiscal Year Research-status Report
規則発見における事例空間の抽象化に関する認知科学的研究
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15K04184
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
寺井 仁 近畿大学, 産業理工学部, 准教授 (30397442)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 規則発見 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,人が膨大な状態空間の中に潜む規則性を発見する過程およびその特徴を明らかにすることを目的として検討を進めている.具体的には,2×2×2のルービックキューブをどのような状態からでも揃えることができる規則の発見を実験課題として,膨大な状態空間からの規則発見の過程について,発話データの分析に基づく検討を進めている.これに加えて,心理実験における規則発見のプロセスに対するモデルベースでの検討を目指している.2017年度は,発話データを対象に,規則発見の過程における,(1)対象に対する理解(対象理解)の深まりと,(2)自身の行為と結果の解釈(自己省察)の関係について検討した.「対象理解」は,単位時間あたりに「表層的特徴」または「構造的特徴」に関する発話の頻度を検討した.その結果,「表層的特徴」への着目は序盤に多く,中盤に向かって減少する一方,「構造的特徴」への着目は中盤から終盤にかけて増加する傾向にあることが明らかとなった.一方,「自己省察」は,単位時間あたりの自身の行為の「振返り」と「評価」に関する発話の頻度を検討した.その結果,「振返り」は序盤には少なく,中盤にかけて増加すること,「評価」は,終盤になって増加する傾向にあることが明らかとなった.これらの結果から,「対象理解」が「表層的特徴」から「構造的特徴」の理解への移行と,「自己省察」の増加は,同時並行的に進むのではなく,「対象理解」が十分整った後,「自己省察」が可能となりその結果,規則発見に至ったと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,モデルベースの研究の推進を念頭に,個人を対象としたプロセスの詳細な分析を優先的に進めた.
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は,これまでの成果をもとに,モデルベースでの検討を行う予定である.
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Causes of Carryover |
研究代表者の校務が多忙を極めたこと,また,子の養育が重なる等,本年度は,十分な時間を確保することができなかった.このことから,認知モデルの作成および評価について,当初の計画から遅れが生じたため,次年度使用額が生じ,期間の延長を申請することとなった.
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