• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2016 Fiscal Year Research-status Report

体育授業における教師の「身体-感性-言語」の関係に関する理論的・実証的研究

Research Project

Project/Area Number 15K04203
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

厚東 芳樹  北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (80515479)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords「出来事の予兆」への気づき / 運動の知識 / 学習成果 / 動機づけられた見落とし
Outline of Annual Research Achievements

2016年度では、当初の研究計画通りに進めることができた。
すなわち、教師の「運動の知識」の広さが体育授業における「出来事の予兆」への気づきと「推論-対処」にどのような影響を及ぼすのかを検討した。合わせて、授業中の教師行動―気づきと「推論-対処」―学習成果(態度得点,運動技能)の三者の関係についても検討した。調査対象およ授業は、小学校教師(知識量が多く専門的な内容まで把握していた教師を上位群、一般的な知識量を保有している教師を中位群、そうでない教師を下位群)と短距離走(学校行事および天候の関係より、5月及び9月に実施)とした。教師の「運動の知識」量については、「ゲーム理論」における「展開型」の表現様式と樹形図を用いた調査と半構造化インタビューを中心に測定した。得られた結果は次の通りである。
(1)同じ小学校教師であっても保有する「運動の知識」量に顕著な相違が存在し、上位群の教師、中位群の教師、さらには下位群の教師に大別可能であったこと、(2)上位群の教師=中位群の教師>下位群の教師という順に1時間あたりの「出来事の予兆」への気づきの頻度数が有意に多く、なかでも「技術的つまずき」に関わったものが多い傾向になったこと、(3)上位群>中位群>下位群の順に学習成果(態度得点,運動技能)も高くなる結果にあった。(4)気づきの頻度数に差はないが学習成果で差が認められた上位群と中位群について、インタビュー調査と実際の授業中の教師行動より両者の間には、「動機づけられた見落とし」があるものと考えられた。つまり、気づいてはいるものの、対処することで授業の流れが壊れたリ止まる可能性のある「出来事の予兆」については、気づいても実際には行動していなかった現象が中位群の教師には生起していた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

授業実践を依頼していた学校教育現場に大きな変化(人事異動や休職など)がなかったことが、おおむね順調に進展した理由であると考える。また、積雪などの天候の影響はあったものの、学校教育現場の先生方が臨機応変に対応して下さったおかげで、授業分析に必要なデータを収集することも可能であった点も、大きな理由であると考える。
また、学校教育現場以外の職場(スポーツ教育現場)で日々の実践を蓄積している方々から収集しているデータや調査結果についてアドバイスを頂けたことも順調に進んでいる理由であろう。とりわけ、学校現場とは異なった観点や視点からアドバイスが得られたことで、不足していた調査観点を得ることができたことは、研究を進めるにあたっては大きな成果であったと考える。

Strategy for Future Research Activity

今年度は、研究テーマ「体育授業における教師の「出来事の予兆」への気づきへの介入・実験的研究-「運動の知識」への介入を中心として-」を進める予定である。その目的は、体育科を専門としない教師3名と初任教師(経験年数3年以下)を対象に、「運動の知識」と「子どものつまずきの類型と対処方法に関する知識」に介入することで、教師の「出来事の予兆」への気づきがどのように変化し、授業中の「言語的相互作用」がどのように改善されるのか検討することを目的に実施する予定である。また、ここまでの研究成果と今年度のデータを整理した上で、著書「気づきの技術-優れた教師に成長するために―(仮テーマ)」にて研究成果報告の予定である。現在、執筆中である。

Causes of Carryover

次年度の研究計画を進めるためである。

Expenditure Plan for Carryover Budget

研究調査や授業実践に必要なものは購入予定である。その他、収集したデータ分析の補助、プロフェッショナルな実践者たちへの聞き取り調査や分析依頼などで人件費を使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 2016

All Journal Article (3 results) (of which Open Access: 2 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 2 results)

  • [Journal Article] 体育科の授業研究にみる教師の実践的力量に関する一考察-関心をいかに形成するか-2017

    • Author(s)
      厚東芳樹
    • Journal Title

      北海道大学大学院教育学研究院紀要

      Volume: 128 Pages: 13-26

    • Open Access
  • [Journal Article] 教師の実践的力量の熟達化に関する文献学的検討-Sensitivityとは何か-2017

    • Author(s)
      藪下美幸・厚東芳樹・国兼慶
    • Journal Title

      北海道大学大学院教育学研究院紀要

      Volume: 128 Pages: 印刷中

    • Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] 体育科模擬授業における大学生の「出来事の予兆」への気づきの検討2016

    • Author(s)
      厚東芳樹・金須一昴・島崎百恵
    • Journal Title

      北海道体育学研究

      Volume: 51 Pages: 51-61

    • Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant

URL: 

Published: 2018-01-16  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi