2017 Fiscal Year Annual Research Report
a theoretical and empirical study in professional expertise of teaching on teachers' body - awareness - language during physical education classes
Project/Area Number |
15K04203
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
厚東 芳樹 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (80515479)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 初任教師 / 体育授業 / 運動の知識 / 子どものつまずきの類型と対処方法に関する知識 / 介入・実験授業 / 問題認識と関心 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,研究課題【3】として体育科を専門としない教師1名と初任教師(経験年数3年以下)1名を対象に,「運動の知識」と「子どものつまずきの類型と対処方法に関する知識」を介入することで,教師の「出来事の予兆」への気づきがどのように変化し,授業中の「言語的相互作用」がどのように改善されるのか検討した。各調査対象者には,介入前にサッカーもしくは短距離走教材を,介入後の単元としてハンドボール教材を,それぞれ実施してもらった。ちなみに,知識への介入は,過去のバイオメカニクスや臨床スポーツ科学の分野を中心としたスポーツ諸科学の研究成果を収集・整理したもの,サッカー,短距離走およびハンドボールを専門とする専門家からの専門的知識提供,これらの運動教材を取り扱った過去の先行研究で認められた「子どものつまずきの類型と対処方法」を体系化したもの,さらには学校体育授業辞典の内容をそれぞれ提示した。 その結果,子どもの「技術的つまずき」への気づきやスポーツ諸科学の知見から推論する「合理的推論」の量は増加したものの,実際の言語的相互作用が変化することはなかった。また,子どもたちの学習成果が高まることもなかった。これらより,「運動の知識」獲得は重要であり,優れた教師へと成長するための十分条件ではあるが,この手の知識獲得に関わった問題認識と関心の形成の前段階に,授業マネジメントなど授業の基礎固めに関わる問題といったステージなどが存在しているものと考えられた。また,今後の研究課題として,各教師の身体知のレベルに合った問題(抱くべき関心も含む)とは何か,どうすれば問題を認識させることが可能なのか,また認識すべき問題に順序は存在するのか,といった実践課題を導出することができた。
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