2017 Fiscal Year Research-status Report
戦後改革期における公立大学の成立過程に関する実証的研究
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15K04220
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉川 卓治 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (50230694)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 公立大学 / 戦後改革期 / 教育学 / 教育史 / 高等教育政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦後改革期の公立大学について、「理念」、「制度」、「実態」の三側面から、一次資料を収集・分析することで実証的に解明することを課題としている。 本年度は、「理念」および「制度」の面については、昨年度までに収集してきた資料に加えて、国立国会図書館憲政資料室に所蔵されている連合国軍最高司令官(GHQ/SCAP)の公衆衛生福祉局(PHW)文書の「マイクロフィッシュ」を集中的に調査・収集したほか、引き続き国立公文書館、国立国会図書館所蔵の関係資料を集めた。また、福岡共同公文書館、および秋田県立図書館・秋田県立公文書館でも資料の調査・収集を実施した。さらに情報公開請求によって、福島県立医科大学に戦後改革期の制度改革にかかわる資料が所蔵されていることが判明したため、その資料の収集も行なった。これらの資料の分析を進めることで、昨年度、その成果の一端を、戦前から戦後改革期の医学専門学校や医科大学の成立・展開において重要な役割を果たした医学視学委員制度の成立過程と組織改編、およびそれがもった意味を解明した論文のなかにまとめることができた。 公立大学の「実態」にかかわっては、昨年度収集した山梨県庁所蔵の資料を分析することで、戦時中に発足した山梨県立医学専門学校を前身とした山梨県立医科大学の設立運動が、どのようにはじまり、どう展開して、そしてなぜ成功しなかったのか、ということについて新たな見解をまとめた。これは公立大学の成立過程の実態をいわば裏側から明らかにする意味をもっていた。中部教育学会において報告した。そのうえで所属大学の紀要に論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「制度」「実態」部分は進捗をみているが、「理念」の側面についての研究がやや遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き資料の収集・整理・分析に鋭意努力し、本年度中に学会報告と論文発表を行ない、さらに全体の成果をまとめて、冊子体の報告書を作成する。
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Causes of Carryover |
(理由) 予定していた海外調査を実施せず国内調査を重点的に実施したこと、およびアルバイトによる資料整理作業について部分的に繰り延べになっていることによる。 (使用計画) 本年度は最終年度であり、目標を見据えつつ調査と資料整理作業および分析を進め、成果をまとめたい。
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Research Products
(3 results)