2015 Fiscal Year Research-status Report
熟議能力としての「政治的リテラシー」の教育哲学的研究
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15K04239
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
蓮見 二郎 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40532437)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シティズンシップ教育 / 熟議民主主義 / クリック・レポート / 政治リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究全体の目的は、シティズンシップ教育の中核理念の一つである「政治的リテラシー(政治リテラシー)」の概念を熟議民主主義の観点から教育目標論・教育評価論・教育方法論の三つのレベルで実質化することにある。そのうち平成27年度の研究実施計画では、教育目標論の部分についての検討を計画していた。 この目的・計画に照らして、平成27年度に実施した研究の成果は、次の通りである。(1)フィリップ・ペティットの共和主義論に、バーナード・クリックの共和主義的シティズンシップ教育論と近接している論点のあることを指摘した。(2)『クリック・レポート』以後のイギリスにおけるシティズンシップ教育をめぐる議論動向と政策動向とを整理した。(3)アンドリュー・ピーターソンにインタビュー調査を行うことで、共和主義的シティズンシップ教育論と熟議との関係についてさらに掘り下げて検討すべきことが判明した。 これらの意義・重要性として、共和主義的なシティズンシップ教育論が、英語圏では熟議民主主義と密接な関係を持って論じられるようになってきており、その内実はクリックが既に検討している論点とも極めて近接していることが明らかになった、という点を挙げることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、フィリップ・ペティットの共和主義論・熟議民主主義論の検討を行え、また、アンドリュー・ピーターソンの海外聞き取り調査を実施できた。ただし、熟議の構成要素や前提条件・制約条件などについては今後さらなるに分析が必要であることから、全体としては、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に進捗のやや遅れた共和主義に基づく熟議の詳細な論点について、平成28年度は優先的に時間を配分することで、この観点の研究をさらに推進するとともに、もともと平成28年度に予定していた以下の点についての研究を着実に進める方針である。 (1)トム・ハリソン、M・C・B・トレモレルらのシティズンシップ教育評価法について、教育哲学的な検討と考察を行う。 (2)熟議との関連で、「選好の変容」に焦点を当てた研究会の開催を準備する。
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