2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Cultural History of Karafuto
Project/Area Number |
15K04248
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
池田 裕子 東海大学, 札幌教養教育センター, 教授 (90448837)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 樺太 / 教育史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は1905年から1945年まで日本の領土を構成していた樺太における官民の文化活動、とりわけ教育活動に焦点を当ててその具体相を明らかにすることを目的とした。 最初の年度では、社会教育及び先住民教育に関する資料を含めた資料を収集することを心がけた。それらを使用した学術論文の執筆は2016年度から実施した。当地における文化史を考察する際に中心となるのは中等教育機関であることから、中学校、実業学校、高等女学校を題材とする論文を発表した。最初に発表したのは「樺太最初の中学校創設―中川小十郎の役割に着目して―」と「樺太庁拓殖学校の再編」である。これらは学校史にはとどまらない地域の状況と教育機関との関係を指摘した成果であった。樺太庁長官に次ぐ第一部長という初期の植民地経営上の重要な人物である中川小十郎(元文部官僚)を中心に、樺太庁の基盤作りに中学校がどのようにかかわったのかを描いた。後者は1930年代の樺太農業への期待を担って開校した拓殖学校を題材に、樺太庁の農業政策の実像を描いた。2017年度は「樺太における女子教育(1)―私立大泊女学校の樺太庁移管を中心に― 」を執筆した。樺太の有力者が開校した私立女学校が樺太庁に移管される経緯を財政状況、人事に目配りをして検討しその実情を明らかにした。いずれも学校史にとどまらない植民地経営の一方策としての学校を捉えるものである。 これらの成果を市民に還元する活動としては教育講座がある。稚内市教育委員会社会教育課主催の生涯学習フェスティバルにおける市民講座で「樺太最初の中学校と中川小十郎」(2015年度)の講師をつとめ、翌年からは「稚内学」として、「樺太初期の初等教育機関の設置」(「稚内学」第5講座、2016年度)、「樺太の女学校」(「稚内学」第3講座、2017年度)を実施した。何れも研究成果を市民にわかりやすく伝える意図から行う活動である。
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Research Products
(1 results)