2016 Fiscal Year Research-status Report
戦後三重県の教育制度に関する史料的研究-教育委員会議事録の整理を中心として-
Project/Area Number |
15K04261
|
Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
井上 兼一 皇學館大学, 教育学部, 准教授 (10440645)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 教育委員会 / 被占領下 / 地方教育史 / 三重県 / 議事整理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究実績について、平成27年度の調査活動を継続して、三重県教育委員会関係資料の所蔵調査と蒐集作業を進めた。これらの資料群については、同教育委員会の総合教育センター(分館)に別置されているが、組織改編のため管轄主体が分館に隣接する高等学校に委譲されたため、調査活動それ自体が難航することになった。 利用の許諾を得て分館での所蔵調査に当たったが、未整理のまま保管されている史料が多く存在している。そうした状況ではあったが、かつて教育委員会で社会教育の担当者であった伊藤晴生氏と天田守氏が所有されていた資料が保管されていたため、これらについては整理をして『伊藤晴生氏旧蔵資料目録』『天田守氏旧蔵資料目録』(いずれも私家版)を作成した。これらは遺族に返却する予定であったため、デジタルカメラ・スキャナーなどで撮影保存する作業を進めた。この他には、占領期の教育改革に関する書籍の購入、紀要・論文の蒐集と整理に当たった。 さらに定期的に研究会を開催して、研究協力者である神山榮治氏(三重大学名誉教授)・松村勝順氏(元皇學館大学教授)と資料と情報の共有をはかり、史料の筆耕作業などを行ってきた。研究会以外の場においても、3年目の報告書作成にむけて討議する機会を持ち、方向性を決めて研究に取り組んできている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度においては、当初予定されていなかった学内・学外の業務に当たらなければならなかった。そのために、思うように史料の所蔵調査を行うことが難しく、また研究会を開催することができないことがあった。 また、調査対象である史料については、調査の許可を得る手続きに時間がかかることや、保存状態・環境が良くないために、蒐集作業に手間がかかるという状況にある。このような諸事情により、調査活動が遅延することになった。その代わりに入手できている史料の整理と筆耕作業を進めることにした。 その一方で、研究活動を進めるために、2月以降から業務補助のためのアルバイトを雇うことにした。筆耕した内容について、誤字脱字のチェックを行ってもらっている。少しでも遅れを取り戻して、平成29年度の研究につなげたいと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度については、平成28年の研究活動を継続していく予定である。とくに、史料の劣化や散逸が甚だしいため、現存しているものについては、デジタル保存の作業を進めるよう努める次第である。 現在、教育委員会発足~昭和27年3月にかけての議案の筆耕作業を行っている。教育委員会の開催日と会議の性格(本会議・協議会など)を仕分けして、上程された議案を一覧化することで、その全体的な動向を把握しようと考えている。三年間の研究成果として、このような三重県教育委員会の議案リストを作成する予定である。 加えて、GHQの諸政策・改革が三重県の教育行政にどのような影響があったのか、突合させて検討を深めたい。
|
Causes of Carryover |
平成28年度については、当初見込んでいた旅費の執行が少なかったことが理由としてあげられる。本研究活動において、研究代表者に加えて研究協力者(2名)がいるが、諸事情により研究会の数を重ねることができなかったことや所蔵調査の機会が予定よりも少なかった。この結果から、残額を平成29年度に繰り越すことになった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度について、研究会の開催、所蔵調査の機会が増える予定であるため、より適正に予算執行できるように努めたい。また研究活動をサポートするアルバイト(2名)を雇っているため、昨年度よりもスムーズな予算の運用ができると考えている。
|