2015 Fiscal Year Research-status Report
少年と高齢者の万引き予防策の実施・検証―社会的紐帯とローカルコードに着目して―
Project/Area Number |
15K04286
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
久保田 真功 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (00401795)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白松 賢 愛媛大学, 教育学部, 教授 (10299331)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 非行 / 学校との絆 / セルフコントロール / 万引き |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、愛媛県警察の協力のもと、万引き被疑者(20歳未満の少年)および一般の少年を対象とした質問紙調査をすでに実施している。被疑者少年調査の対象は、愛媛県内で取り調べを受けた少年(20歳未満)90名である(調査の実施時期は、2011年10月~2012年2月末および2012年8月~2013年2月末の計2回)。一般少年調査の対象は、愛媛県内の中学校(3校)および高等学校(3校)に在籍する生徒976名である(調査の実施時期は、中学校調査については2012年2月、高等学校調査については2013年11月~2014年1月)。 これらの調査から得られたデータを、Hirschi(1969)の社会的絆の理論にもとづき分析したところ、初めて補導された少年と複数回補導された少年(いずれも中高生)との違い、さらには、被疑者少年(中高生)と一般少年との違いは、学校との絆にあることが明らかとなった。この結果は、少年による万引きを防止する上で、学校との絆の強化や維持・回復に向けた働きかけを行うことが有効である可能性を示唆している。 以上の結果と、Gottfredson & Hiischi(1990)においてセルフコントロール(以下、SC)という概念が着目されていることを踏まえ、あらたに一般の中学生を対象とした質問紙調査を実施し、学校との絆やSCが非行行動に及ぼす影響について検討することとした。分析対象は、愛媛県内にある5つの公立中学校の生徒2,070名である(調査の実施時期は、2015年11月~12月)。各学校の分析結果(主には単純集計結果)をまとめた報告書については、各学校にすでに提出済みである(提出時期は、2015年2月~4月)。 また、我々は、具体的な万引き対策として「買い物をしながらできる見守り活動」を2014年11月に試行的に実施していた。その目的は、有償ボランティアの可能性を探ることや「見せる防犯」の方法を検討すること等にあった。対策から得られた結果については、現在分析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的として掲げていた、学校との絆やSCに着目した調査をあらたに実施することができたとともに、データ入力を終え、基礎的な分析もある程度行うことができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
あらたに実施した学校との絆やSCに着目した調査から得られたデータをより詳細に分析するとともに、学校関係者や店舗の職員、万引きGメンを対象としたインタビュー調査を実施する。これらの結果をもとに、学校と学校外関連機関との連携を踏まえた包括的な少年の万引き予防策を提案する。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた海外出張を次年度以降に延期したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降に海外の学会等に参加する予定。
|
Research Products
(1 results)