2015 Fiscal Year Research-status Report
観察・コミュニケーションの発達指標を組み込んだ幼小一体型数理教育カリキュラム開発
Project/Area Number |
15K04325
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
小谷 卓也 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (50411484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹歳 賢一 大阪大谷大学, 教育学部, 講師 (20712334)
長瀬 美子 大阪大谷大学, 教育学部, 教授 (50247889)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 幼児の「かがく」 / 低学年児童の「かがく」 / 科学教育 / 思考のスキル / 幼小接続 / 幼小一体型数理教育カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2015年度研究実践の具体的な内容は、以下の通りである。 (1)2歳から5歳児対象の「幼児期のかがく」の実験的保育モデルを7つ開発し、3つの公私立研究協力園において「もの」・「こと」と関わる遊びとして実施した。具体的には、大阪狭山市立南第二幼稚園では「落下遊び」(5歳児)・「面(面積)の遊び」(4歳児)、富田林市立錦郡幼稚園では「泡(空気)遊び」(5歳児)、私立御幸幼稚園では「ものの浮き沈み遊び」(2歳児)、「衝突遊び」(3歳児)、「磁力線遊び」(4歳児)、「かさ(体積)遊び」(5歳児)を開発・実施した。 (2)小学校第1学年及び第2学年対象の「低学年児童期のかがく」の実験的授業モデルを8つ(16時間分)開発し、2つの公私立研究協力校において「生活科におけるものと関わる体験活動」として実施した。具体的には、私立はつしば学園小学校において「空気のかがく」・「面(面積)のかがく」・「衝突のかがく」(第1学年)、「かさ(体積)のかがく」・「磁石のかがく」・「落下のかがく」(第2学年)、富田林市立錦郡小学校において「ものの浮き沈みのかがく」・「衝突のかがく」(第2学年)を開発・実施した。 (3)本研究の成果は、日本保育学会・日本乳幼児保育学会・日本理科教育学会・日本生活科総合的学習教育学会・数学教育学会の国内5学会において計6回、PECERA(Pacific Early Childhood Education Research Association)の主催する国外の国際会議において発表した。さらにその研究成果の一部は、大阪大谷大学教育学部「教育研究」及び大阪大谷大学「幼児教育実践研究センター紀要」の2つの研究紀要にまとめ、公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度の本研究の目的及び計画は、(1)研究協力校園において、「数」及び「自然」事象に対する 幼児・低学年児童の認知発達特性を「観察」・「コミュニケーション」行為の2観点から抽出・分析する、(2)研究協力校園を中心に、「数」及び「自然」事象に関わる保育・授業実践の実態調査を実施することであった。 (1)については、まず研究協力校園(小学校2校、幼稚園3園)において幼小一体型数理教育カリキュラム「かがく」を開発し、実際に保育・授業を実施した。次に「かがく」の保育・授業過程における幼児・低学年児童の「行動」・「ことば」・「表情」を「観察」・「コミュニケーション」行為の2観点から抽出・分析した。この結果、幼児・低学年児童は「数」及び「自然」事象に対する「観察」及び「コミュニケーション」行為に特異性が見られ、その成果は国内外の学会・国際会議等において発表した。 (2)については、研究協力校園(小学校2校、幼稚園3園)や国内の国立大学法人附属幼稚園及び附属小学校を中心に、「数」及び「自然」事象に関わる保育・授業実践の実態について、情報の収集を行ってきた。この結果、幼児期の「遊び」や低学年児童期の「教科生活」においては、「飼育」・「栽培」に関連する実践が多く存在したが、「数」・「形」・「量」や「ものと関わる遊び」の実践については、ほとんど見られなかった。 以上の理由から、2015年度の本研究の目的は、概ね達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度の研究結果を踏まえ、2016年度は以下の様な研究計画を立案し、遂行していく。なお、これらの研究成果については、国内外の学会等で発表していく予定である。
(1)2015年度に開発した7つの幼児期の「かがく」及び8つの低学年児童期の「かがく」実践において得られた抽出児のデータから得られた「行動」・「ことば」・「表情」のデータから、幼児・低学年児童の「数」や「自然」に対する認知特性についての分析をさらに推し進めていく。 (2)認知特性の分析データを用いて幼小一体型数理教育カリキュラム「かがく」を修正・改良し、さらにより良いものに開発していく。また保育者や教師が、「かがく」のカリキュラム開発上、必要不可欠な条件についても抽出していく。 (3)改良されたカリキュラムを、再度研究協力校園で実践し、抽出された幼児及び低学年児童の「数」認識及び「自然」認識の年齢による違いを明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
・年度末に予定していた研究協力校園での研究保育が次年度に持ち越しとなったため、それに関わる実験教材購入費の支出が無くなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
・年度末に実施できなかった研究協力校園での研究保育を次年度に実施し、それに関わる実験教材購入費の支出を行う予定である。
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