2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04351
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 由利子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (50323829)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 留学生 / 頭脳循環 / ベトナム人留学生 / 職場環境 / 就職支援 / 定着 / 日系企業 / 高度人材 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベトナムにおいて2回の現地調査を行い、元日本留学生同窓会の幹部に質問紙調査への協力依頼を行うと共に、日系企業等で働く元日本留学生、起業した元日本留学生、元日本留学生を雇用する日系企業、日本商工会議所の関係者、日本大使館やJICA日本人材養成センター、日本語学校の関係者に対して聞き取り調査を行った。 この聞き取り調査結果と、日本学生支援機構による私費留学生生活実態調査の分析結果などを踏まえ、日本学生支援機構のウェブマガジンに2つの論考を寄稿し、特に「ベトナム人、ネパール人留学生の特徴と増加の背景」と題した論考は、平成28年4月~12月期のアクセス件数が8,823件に上り、すべての論考・報告中のトップとなった。また、朝日新聞、西日本新聞に、留学生問題についてのオピニオン記事が掲載され、外国人の受け入れをテーマとするNHKの番組にも出演した。 また、指導する博士学生と「中国人元日本留学生の進路選択の影響要因と職場環境・生活環境」に関する調査を行い、理工系と文系別に分析し、これに基づき、国際セッションで発表を行った他、学会誌に論文を投稿し、採択された。 10月には、人の移動をテーマとするInternational Metropolis Conferenceの第9回大会においてワークショップを主催し、ドイツの移民・難民庁の研究課長、韓国の国際移住機構の主任研究員と共に、日独韓における留学生などの外国人材の地方における受入れのあり方について、共同発表と討議を行った。さらに3月には、Comparative and International Education Societyの61回大会において、日本、韓国、米国で学ぶ留学生の授業料と奨学金の国際比較結果を示し、留学生の頭脳循環について、経済的な面からの分析を試みた。 上記の他、国内の学会で5回の発表を行い、招待講演は3回に上った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)日本学生支援機構の私費留学生実態調査に関するデータを元に、ベトナム、ネパール、中国、タイ、インドネシア出身の留学生の留学動機、生活状況、専攻分野、就職等の傾向を比較分析した上で、日本や母国で働く元留学生に対する聞き取り調査、留学生を雇用する企業に対する聞き取り調査を行い、2本の論考を日本学生支援機構のウェブマガジンで発表し、1つの論文を学会誌に投稿し、採択された。 (2)日本学生支援機構のウェブマガジンで発表した「ベトナム人、ネパール人留学生の特徴と増加の背景」に関する論考は、平成28年4月~12月期のアクセス件数が8,823件と、すべての論考・報告中のトップとなった。また、朝日新聞、西日本新聞に、留学生問題についてのオピニオン記事が掲載され、外国人受け入れをテーマとするNHKの番組にも出演した。 (3)ベトナムで、日系企業等で勤務する元日本留学生に対する聞取り調査を行うと共に、元留学生を雇用する日系企業の人事担当者にヒアリング調査を行い、日系企業における元日本留学生への期待や貢献状況について、元日本留学生側と企業側双方からの意見を聴取した。 (4)韓国で、地方の大学、自治体における留学生誘致・支援・定着の取り組みについて聞き取り調査を行った。 (5)これらの研究成果を踏まえ、国際会議や国際学会での発表を2回、国際セッションでの発表を1回行い、また、国内の学会で5回の発表を行い、招待講演は3回に上った。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)留学生の就職支援や交流促進を行う団体の協力を得て、ベトナム、ネパール、タイ、インドネシア、ミャンマー出身の元日本留学生のオンライン調査の回答数を増やし、それに基づいて、出身国別、理工系・文系別に回答の統計分析を行い、出身国の状況や専攻分野が、留学生の就職・定着の選択にどのように影響しているのかを分析する。 (2)海外産業人材育成協会の協力を得て、元日本留学生を雇用する日本企業、東南アジアの日系企業に対する調査を実施し、日本企業及び日系企業の、元日本留学生に対する期待や活用状況について、国別、業種別に把握する。 (3)オーストラリアで調査を行い、オーストラリアの大学を卒業したアジア出身の元留学生の進路選択の状況や職場環境・生活環境について、日本での調査結果と比較し、研究発表を行う。 (4)上記を含むこれまでの研究成果について、国内外の学会等で積極的に発表すると共に、報告書にまとめる。
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Causes of Carryover |
オーストラリアで共同研究を予定していたアデレード大学教授Graeme Hugo氏が急死し、また、その下で働いていた研究員のGeorge Tan博士も他大学に転出したため、オーストラリアでの調査を予定通り行うことができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度、メルボルン大学に3ヶ月滞在し、同大学アジア・インスティテュートの小川晃弘教授の協力を得て、オーストラリアに留学したアジア出身の留学生のフォローアップ調査と、元留学生が働く職場の調査を行う予定である。
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Research Products
(17 results)