2015 Fiscal Year Research-status Report
中学校で不登校を経験した生徒に対する定時制高校の特性を生かした生徒指導について
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15K04366
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
加藤 誠之 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (90553149)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 管理主義的な生徒指導 / カウンセリング / 非行多発期 / 遊び / 毅然とした生徒指導 / 生徒指導の史的展開 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は研究の初年度として,我が国の生徒指導の歴史を概観し,その問題点を明確にする試みを行った。この試みを通じて明らかになったのは,以下のことである。(1)我が国では,1960年代にカウンセリングがブームになった。しかし,カウンセリングは1970年代後半~1980年代前半の非行多発期に対応できず,規律を重視する管理主義的な生徒指導に取って代わられた。(2)しかし,管理主義的な生徒指導は①規則を守らせることを自己目的化し,生徒の安全と人権を害する体罰など行きすぎた手段を用いることも辞さなくなる②教師-生徒という縦の関係を重視する一方,生徒-生徒という横の関係を無視するという弊害を有し,1990年代の学校バッシングを引き起こした。(3)管理主義的な生徒指導の問題は,子どもの自由な動きを許す余裕としての「遊び」を欠いていることである。(4)最近唱えられている「毅然とした生徒指導」は,管理主義的な生徒指導のリバイバルとしての性格を有しており,管理主義的な生徒指導の失敗を繰り返すおそれがある。以上の成果については,平成27年11月14日(土)~15日(日)に九州ルーテル学院大学で開催された日本人間関係学会第23回大会で,藤田毅(太平洋学園高等学校)との連名で「我が国における生徒指導の史的展開」と題する口頭発表を行って公表した。また,この発表を基礎として「定時制高校の実践に学ぶ生徒指導―自由と遊びに関するサルトルの思索を手掛かりとして―」と題する論文を執筆し,日本人間関係学会機関誌『人間関係学研究』に投稿した(現在審査中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の目的の一つであった先行研究のレビューについて口頭発表を行っている。 事例研究の主要なフィールドである地元の私立X高校(定時制)での観察も順調に進んでおり,現在投稿中の論文には,幾つかの事例に関する考察を記載できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度以降は,地元の私立X高校(定時制)の他にも幾つかの高校を見学し,その特色ある生徒指導の在り方について資料を収集していきたい。
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Causes of Carryover |
現実に様々な物品を購入したとき,ごく少額の端数が出ることは避けられなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の消耗品購入に使用する。
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