2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K04528
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熊野 正樹 九州大学, 学術研究・産学官連携本部, 准教授 (10580772)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 起業家教育 / 起業支援 / 起業家育成プログラム / ベンチャー / 学生ベンチャー / ビジネスプラン / エコシステム / 大学発ベンチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、下記の研究を行った。 (1)大学(キャンパス・ラーニング)に関する分析/検討米国の大学のキャンパス全体を通して行われる起業家教育のシステムについて、その内容、イベント、コンテンツ、寮生活による教育効果等に関する分析、検討を行うとともに、日本に導入する際の課題の整理と検討を行った。具体的には、前年度に視察したバブソン大学、MITへでの取り組みを調査資料に基づいて整理し纏めた。 (2)社会(ソーシャル・ラーニング)に関する分析・検討/米国の大学と社会のかかわりの中で育成される起業家輩出の仕組みの解明に注力した。起業家と大学の接点、専門家と大学の接点、起業と大学の接点、を中心に起業家教育が社会全体でシステムとして機能している姿を詳細に調査、分析し、日本に導入する際の課題の整理と検討を行った。具体的には、サンフランシスコ・シリコンバレーに訪問し、スタンフォード大学やスタートアップ支援会社であるbtraxの起業家教育プログラムについて詳細にヒアリングを行い、日本での展開について考察した。また、ベンチャーエコシステムの日米比較の観点から、日本のベンチャーエコシステムのコミュニティ形成イベントに参加し、起業家教育とエコシステムの連携の在り方について調査した。 (3)崇城大学および九州大学での実証的検討/崇城大学では、大学公認の起業部を設立し、講義で起業に興味を持った学生が、自発的かつ本格的に起業家を目指す仕組みをつくっている。また、学内でビジネスプランコンテストを実施しており、学内のイベントから起業家を輩出するシステムの構築を視野に入れて、米国の事例を日本に導入する際の課題の整理、検討を行った。筆者は、平成28年度より崇城大学から九州大学に移籍したため、これらの知見を九州大学における起業家教育プログラムの開発にいかした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、おおむね順調に推移している。海外の大学や大学外のエコシステムの研究成果を崇城大学起業家育成プログラムで実証し、大きな成果を上げている。崇城大学起業家育成プログラムを通して、サンフランシスコオフィスの開設、ベンチャーラボの設立、ファンド会社の設立、株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング、ポート株式会社、btrax社との提携など実践的な起業家教育プログラムを構築している。また崇城大学ビジネスプランコンテストを開催し、熊本県、NEDO、NICTなどとの連携を行ってきた。このプログラムにより、文部科学省が主催するキャンパスベンチャーグランプリで、崇城大学生が文部科学大臣賞を受賞するなど、外部の高い評価を得ている。これらの知見を活かし、九州大学においても起業家教育プログラムを開発し、平成29年度に実行に移す段取りをつけている。
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Strategy for Future Research Activity |
米国の大学の講義(クラス・ラーニング)、米国のキャンパス内で行われる起業家教育(キャンパス・ラーニング)、米国の起業家教育と社会との関わり(ソーシャル・ラーニング)に焦点を当て、資料の収集、現地関係者からのヒアリング調査による実態把握を行ってきたが、これらをまとめて、論文にするとともに、九州大学において、起業家教育プログラムを開発し、29年度より実証実験を行う。 具体的には、九州大学では大学公認の起業部を平成29年度より始めるが、ここで本研究の研究成果を導入して、実践的な起業家教育を行っていく。 平成29年7月より、本気で起業したい学生のために「九州大学起業部」を設立する。 サッカー部がサッカーするかのごとく、起業部は学生起業するのである。起業部では、チームでビジネスプランを作成し、国内外のコンテストに応募しながら、ビジネスプランをブラッシュアップし、起業に向けて実践的な活動を行う。 専任教員が顧問として指導にあたるほか、国内外の一流の起業家やベンチャーキャピタリストをネットワークし、起業支援を行います。1年に平均3社、10年で30社の学生ベンチャーを創出。うち3社の上場企業を創出する計画である。平成29年4月末日現在、入部希望者が100名を超えている。
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Causes of Carryover |
初年度の予算繰り越し(経済産業省より海外派遣されたため、予算執行が予定を下回ったため)があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
書籍代の購入に充当する
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