2016 Fiscal Year Research-status Report
可溶性フタロシアニンを用いた塗布型有機薄膜太陽電池の膜内結晶性制御による高効率化
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15K04651
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
広光 一郎 島根大学, 総合理工学研究科, 教授 (40199138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半田 真 島根大学, 総合理工学研究科, 教授 (70208700)
池上 崇久 島根大学, 総合理工学研究科, 准教授 (00379033)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 塗布型有機薄膜太陽電池 / 可溶性フタロシアニン / 結晶性薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.フタロシアニン塗布膜とペリレン蒸着膜を用いた太陽電池のデバイス特性向上:H27年度に研究した可溶性亜鉛フタロシアニン(ZcPc-TB)塗布膜を用いた太陽電池(ITO/ZnPc-TB/PTCBI/In/Al)では,0.0043%のエネルギー変換効率しか得られなかった。今年度は,まず有機膜表面のAFM観察を行った。p型層であるZnPc-TB薄膜の表面粗さは 0.2 nmであったのに対して,n型層であるPTCBI薄膜の表面粗さは1.6 nmであり,n型層の表面粗さがキャリア輸送に不利に働くことで変換効率が低い値に留まっていることが示唆された。そこで,PTCBIとよく似たペリレン系分子であるPTCDI-C8をn型層に用いたところ,0.020%の変換効率が得られ,PTCBIを用いた場合と比べて約4.6倍変換効率が向上した。
2. 亜鉛フタロシアニン二核錯体を用いた太陽電池の作製:共同研究者が合成した新規材料である亜鉛フタロシアニン二核錯体(ZnPc2)をp型層に用いた太陽電池の光電変換特性を調べた。ITO/ZnPc2/PTCBI/In/Alは 0.00049% の変換効率しか得られなかったが,2種類のフタロシアニンをブレンドした太陽電池(ITO/ZnPc2:ZnPc-TB(20 wt%)/PTCBI/In/Al)では0.060% の変換効率を示し,大幅に効率が向上した。
3. ZnPc-TBを用いた逆構造型太陽電池の作製:高耐久性と高い変換効率を併せ持つ太陽電池素子を実現するため,逆構造型バルクヘテロ接合型太陽電池を作製した。素子構造は ITO/ZnO/ZnPc-TB:PCBM/MoO3/Agであり,0.01 %の変換効率が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
可溶性亜鉛フタロシアニン/ペリレンヘテロ接合型太陽電池では,n型のペリレン分子をPTCBIからPTCDI-C8に変更することで光電変換効率が大幅に向上することがわかった。また,亜鉛フタロシアニン二核錯体とZnPc-TBとのブレンド膜太陽電池では,単体の分子を用いた場合と比べて大きく変換効率が向上することを明らかにした。ドナー/アクセプター材料に可溶性分子を用いた逆構造型太陽電池では,ZnPc-TB/PTCBIへテロ接合型太陽電池よりも高い変換効率が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
亜鉛フタロシアニン二核錯体(ZnPc2)とZnPc-TBとのブレンド膜太陽電池において大幅に変換効率が向上した原因を調べるため,薄膜表面のAFM観察やX線回折測定を行う。さらに,ZnPc2に対するZnPc-TBのブレンド比を変えた太陽電池を作製し,ブレンド比がデバイスパラメーターに与える影響を明らかにする。また,ZnPc-TBを用いた逆構造型太陽電池については,各層の膜厚の最適化やバルクヘテロ層へ他の有機色素をブレンドすることにより,更なる光電変換効率向上を目指す。
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Research Products
(6 results)