2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of high-mobility strained Si/SiGe/Si(110) heterostructure by suppression of dislocation generation
Project/Area Number |
15K04661
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
有元 圭介 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30345699)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歪みシリコン / 結晶欠陥 / ヘテロ構造 / MOSFET |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、低コストで高正孔移動度を実現できる材料系として(110)面を表面に有する歪みシリコン(Si)の欠陥形成に関して知見を得、これを制御する方法を見出すことが主要な目標となっている。平成29年度の研究では、(i) 結晶成長の進行過程における結晶モフォロジーの変化、(ii) 熱処理による結晶モフォロジーの変化について研究を行った。(i)に関しては、これまでは実際のデバイス構造を想定して組成傾斜構造での結晶欠陥の形成過程について調べて来たが、基礎的な知見を得るため、様々な膜厚をもつ均一組成薄膜を形成し、観察を行った。従来の試料では、表面に[-112]方向に平行な凹凸が形成されていた。この凹凸はマイクロ双晶の間の空間に形成されていることが観察されているため、マイクロ双晶の形成後に発達すると考えられてきた。しかし、本研究の結果、マイクロ双晶の形成以前に既に類似の表面モフォロジーが形成されることが分かった。また、この構造は始めのうちは[-112]方向に平行ではなく、やや[-110]に近い方位に沿って形成されることも明らかとなった。(ii)に関しては、900℃以上の熱処理がSiGe層の歪み緩和率や結晶欠陥の形成に及ぼす影響を調べた。この結果、[001]方向の歪み緩和率は熱処理に対して安定で、歪み緩和を促進することは難しいことが分かった。一方[-110]方向の歪み緩和は結晶成長中には低く保たれるが、成膜後の熱処理によって歪み緩和が促進され易いことが分かった。また、結晶成長時の原料フラックスレートにより、その後の熱処理時の構造安定性が異なること、また、1000℃での長時間の熱処理を行うと、これまで見られなかった [001]方向に平行な転位が形成されることを見出した。今回得られた知見は、結晶成長条件やその後の熱処理で結晶欠陥の形成を制御しデバイス特性の向上を目指す上で極めて重要である。
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