2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of void structure near the interface of a-Si:H/c-Si heterojunctions
Project/Area Number |
15K04663
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
松木 伸行 神奈川大学, 工学部, 准教授 (30373450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 永康 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ長 (00391889)
上殿 明良 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20213374)
ORourke Brian 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (60586551)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | a-Si:H/c-Siヘテロ接合 / 陽電子消滅 / 分光エリプソメトリー / ボイド / Siヘテロ接合太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)/結晶シリコン(c-Si)ヘテロ接合太陽電池の太陽電池特性を決定づけている重要な要因のひとつと考えられる,a-Si:H内におけるナノ・マイクロボイド(空隙)構造の詳細と太陽電池特性との相関を明らかにすることを目的としている.a-Si:Hにおけるナノ・マイクロボイド構造(以下,ボイド構造)サイズはSi原子数にして1原子から10原子程度の微細なものであり,そのサイズを定量的に決定するためには,透過型電子顕微鏡などの従来の形態観察手法では観察が困難であり,陽電子消滅法もしくはX線,小角散乱に限定されている.この中でも100 nm厚以下の膜厚で定量分析できる方法としては,陽電子消滅法に限られる.しかし,陽電子消滅法には大規模な装置が必要であり,研究室の製膜装置や生産現場に組み入れることは難しい. そこで,本研究では光学的手法を用いて簡易的にボイドサイズを同定可能な方法の開発を行った.具体的には,様々な製膜手法・条件でa-Si:Hを作製し,そのボイドサイズを陽電子消滅法で評価するとともに,分光エリプソメトリーを用いて光学定数を決定し,それらの値の相関関係を調べてきた. 29年度は、上記の相関関係が作製装置や条件に依らず普遍的に成り立つのかに着目して研究を行った.その結果,「ドープを行わないa-Si:Hにおいては,作製方法・条件にかかわらず,膜中ボイドサイズと誘電関数の虚数項(光吸収要素)の最大値との間に普遍的な相関関係が存在する」ということを見出した.この結果は,a-Si:H/c-Si界面近傍における数nm厚のa-Si:H内のボイドサイズを製膜中に決定できる新手法の開発に道を開くものであり,前年度までの結果と併せて,基礎的な知見から産業応用まで一貫して重要となる情報を得ることができたと考えている.
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