2015 Fiscal Year Research-status Report
レベルセット法に基づくボクセル接触解析手法の開発-筋骨格系生体力学解析に向けて
Project/Area Number |
15K04757
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
陳 献 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70313012)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生体力学 / 接触解析 / レベルセット法 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体力学シミュレーションでは,複雑な形状を持つ生体組織の解析モデル作成に莫大な時間と労力を要するため,医用画像の情報を直接用いたボクセル解析法が注目される.しかし,ボクセルモデルでは境界形状が不連続となるため,生体組織間の力学的相互作用を扱う接触解析はできない.そこで,本研究の主な目的は、レベルセット法を導入することにより,境界の陽的定義を不要にし,医用画像からのボクセル情報を直接利用できる高精度ボクセル接触解析手法を開発することである.平成27年度では,まず微小変形に対して,レベルセット法に基づく有限要素接触解析に関する基礎理論の構築と定式化を行った.固体力学におけるLagrange型ボクセル解析では,初期状態で医用画像のピクセルと一致したボクセルが変形に伴い元のピクセルから離れる.一方,レベルセット法では一般的に符号付距離関数がEuler表記,即ち空間格子に基づくため,レベルセット解析で得られる空間格子の符号付距離関数を変形後のボクセルへ写像する必要がある.このようなボクセルにおける符号付距離関数の更新アルゴリズムを構築した.さらに,ボクセル解析に基づく等価節点接触力及び接線剛性の導出を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度では,レベルセット法に基づく接触解析手法の理論構築とプログラムの開発を目標に設定したが,プログラムのデバッグに予想以上の時間がかかったため,プログラムの開発が完成できなかった.一方,理論構築と定式化が完了したため,来年度の研究で遅れを取り戻すことが可能である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度では,まずプログラムの開発を加速する.開発したプログラムを用いて,医用画像を基にレベルセット法による接触解析を行い,開発した手法の有効性を確認する.さらに,剛体・柔軟体解析手法を開発する.平成29年度では,開発したレベルセット接触解析法と剛体・柔軟体解析手法を用いて,骨盤における生体力学シミュレーションを行い,開発した手法に関する臨床的検証を行う.
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Causes of Carryover |
平成27年度では国内学会及び国際会議の発表を予定していたが,プログラム開発の遅れにより,発表ができなかったため,予定の研究発表用の学会登録費及び旅費に余剰を生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度以降は積極的に研究発表を予定しており,また股関節モデルの構築や必要な研究支援の謝金支出も予定している.計算機消耗品のほか,論文別刷り及び英文論文添削料の支出も予定している.
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