2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K04770
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田邊 顕一朗 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (10334038)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 代数学 |
Outline of Annual Research Achievements |
頂点作用素代数のホイッタカー加群について研究した.ホイッタカー加群はもともと三角分解をもつリー環に対して定義されているものであるため,リー環に付随する頂点作用素代数の場合を除いて,一般の頂点作用素代数にどう定義すべきなのかは分かっていなかった.筆者は,ホイッタカー加群ではなくホイッタカーベクトルに注目することにより,ヴィラソロ代数に対するホイッタカーベクトルをもつ頂点作用素代数の弱加群を考察した.まず,ランクが1のハイゼンベルグ頂点作用素代数の,位数2の自己同型に関する不変部分代数に対して,そのような既約弱加群を分類した.この分類結果から,ホイッタカーベクトルをもつ既約弱加群は,もとのハイゼンベルグ頂点作用素代数の既約弱加群,またはtwisted 既約弱加群に同型になることが分かった.これは,一般の頂点作用素代数において,通常の加群に対しては成立していると予想される性質であるが,弱加群というもともとの予想の範囲を超えて,予想が検証された初めての例になっている.さらに,ホイッタカーベクトルをもつという条件付きではあるが,既約弱加群が分類された初めての例にもなっている.次に,カウシュやアドモビッツ等によって表現が研究されてきた,singlet頂点代数に対して,同様にホイッタカーベクトルをもつ既約弱加群の分類を行った.これらの弱加群もやはり,ハイゼンベルグ頂点作用素代数の既約弱加群に同型になることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホイッタカーベクトルを含む弱加群の理解が進んだため.
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Strategy for Future Research Activity |
他の頂点作用素代数に対して,ホイッタカーベクトルを含む既約弱加群の分類をおこない,そのテンソル積を考察する.
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Causes of Carryover |
研究集会への出張を,予定があわずに取りやめたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
表現論関連の図書購入
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