2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K04802
|
Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
水川 裕司 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 総合教育学群, 准教授 (60531762)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 対称関数 / SchurのQ-関数 / Gelfand pair |
Outline of Annual Research Achievements |
Lie型の組合せ論とは,Lie群の表現論に起源をもつ組合せ論のことである.その中でも対称関数,特にシューア函数は一般線形群の多項式表現の指標として現れ,豊富な構造を持つ.Schur関数は整数の分割でパラメトライズされ,分割の組合せ論との関係を見ることは基本的である.また,どのような場面にSchur函数やその類似物たちが登場し,機能するかを調べることも重要である. 本年度はこのシューア函数のスピン表現での類似であるSchurのQ関数についての研究を行った.捻じれゲルファントペアより生ずる群行列の一般化について調べ,その固有値としてSchurのQ関数を実現した.群行列は表現論の起源というべき古典的な概念でありフロベニウスにより研究された.このことを容易に捻じれゲルファントペアの場合に拡張することが出来ることを示した.さらに具体的な例として超八面体群と対称群の捻じれゲルファントペアを考え,これを用いてSchurのQ関数を行列の固有値として実現するための組合せ論的な構成をした.この結果は10月に行われた数理解析研究所の研究集会で講演を行った. また,熊本大学の山田裕史,明海大学の中島達洋とともにBKP方程式に関する佐藤理論より生ずるSchurのQ関数に関する新たな恒等式についての研究を始めた,これに関しては現在予想の定式化が出来ている.これは分割の商やコアと呼ばれる概念を用いて記述される.また,山田裕史氏の研究を中心とした表現論の広がりをテーマに10月に熊本大学で小規模な研究集会を主催した. さらに有限群の表現論と確率論の接点についてエーレンフェストの壺モデルの群作用による相互作用を用いた一般化についての研究を進めた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対称関数に関する組合せ論は多くの成果を得ることが出来た.とくにSchurのQ関数に関しての新たな発見を行列の固有値のと佐藤理論からの二つの観点からすることが出来た.また,確率論と有限群のゲルファントペアに関しての理解も深まった.ただし,特殊関数を有限群から定義する,ということ関しては幾つかの材料はあるものの決定的なものを得ることができなかった.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はまずはBKP方程式における佐藤理論より生ずるSchurのQ関数に関する恒等式を考える.いままで幾つかのこの手の公式をアフィンリー環の表現論や組合せ論を用いることで証明してきたが,現在考えているものはそれらとの関係もありそうである.しかし,なかなか既存の方法を用いても現在のところ上手くいかない,そのためにできるだけ綿密な研究打合せをすることで共同研究をしている山田,中島の両氏と議論を重ねる事が必要と思われる.また,ヘッケ環を用いた特殊関数と表現論の関係をなんとか見出したい.このために専門知識を入手するための研究集会の参加や書籍などを利用したい.
|
Causes of Carryover |
当年度は初の大学院生の指導をしなくてはならず,慣れない中多くの時間をこれに費やす必要があったため,出張などが思うように出来なかった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
SchurのQ関する問題を解決するために共同研究を行っている山田,中島両氏との多くの打合せが必要である.そのための旅費として使用する.
|
Research Products
(2 results)