2020 Fiscal Year Research-status Report
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15K04816
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
斉藤 盛彦 京都大学, 数理解析研究所, 研究員 (10186968)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ニュートン非退化超曲面 / 交叉複体 / ホッジ加群 / コボルディスム類群 / L-類 / 超平面配置 / ミルナー束コホモロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
まずニュートン非退化超曲面の交叉複体について、これに関しては様々な類似の公式が知られていたが、それらは全て実質的に同値であることを確かめ、更にホッジ加群の圏に於ける公式をトム・ギシン系列を使う事により証明した。この公式はバチレフ氏の論文などにも本質的に使われているようではあるが、正確な証明はどこにも書かれていなかったようである。また上記の論法は l-進係数の場合にも不可欠であるように思われるが、文献に於ける記述はこれに関してはあまり正確ではないようである。
次にフェルナンデス・パラレス両氏との共同研究においては、ホッジ加群の偏極を使うことにより、ホッジ加群のグロタンディック群から実係数自己双対複体のコボルディスム類群への自然な写像を構成し、その結果として多様体のグロタンディック群から上記のコボルディスム類群への自然な写像も得ることができた。これによりブラスレ・シュルマン・與倉氏らによる有理ホモロジー多様体のゴレスキー・マックファーソン交叉複体 L-類に関する予想について、理論的に自然な証明を与えることができた。
更に斉次3変数超平面配置のミルナー束コホモロジーの計算に関しては、エノー・シェヒトマン・フィーヴェックの方法で計算可能な為の比較的簡単な十分条件を考察し、超平面配置の効率性や複雑性を表す指標を定義した。これらの指標がある程度小さければ彼らの方法で計算可能なのではあるが、例外の場合がかなりあり、簡明で有用な公式を得るのはそう簡単ではない。また斉次4変数以上の場合には原点を通らない超平面切断を繰り返すことにより、ミルナー束の一次コホモロジーの非冪単モノドロミー部分が0でないことは滅多に起こらないことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ホッジ加群の応用に関する研究はうまくいっているのではあるが、ホッジ加群の基礎を分かり易く説明する方はそう簡単ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
ホッジ加群の基礎に関しては、もっと非専門家にも分かるようなものを作らなければならない。
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Causes of Carryover |
支出が無かったのは、出席できる研究集会が昨年度まったく無かった為である。
今年度の研究集会に出席するために使われる予定である。
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