2017 Fiscal Year Research-status Report
退化型及び特異型ケーラー・シーゲル系の漸近解析と適切性
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15K04961
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉山 由恵 九州大学, 数理学研究院, 教授 (60308210)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Keller-Segel系 / Navier-Stokes方程式 / 退化放物型 / 特異放物型 / 初期値問題の時間局所適切性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Navier-Stokes方程式は流体力学の基礎方程式であり,Keller-Segel方程式系は数理生物学の基礎方程式である.Keller-Segel系は,多くのパラメーターを有し,その取り方によって半線形型,退化型,特異型が現れる豊富な構造を内在している.特に退化型の場合,主要項の係数に未知関数が含まれるため一様楕円性が保証されない困難さを生ずる.同方程式系自身は,放物-放物型および放物-楕円型に分類されるが,ともに重要な研究対象であり,適切性を論じる際,それぞれの特性に応じた解析が求められる. 流体力学と数理生物学の基礎方程式を連立させることで,流体影響下における生命現象を記述できる.2017年度には,空間3次元以上において,Keller-Segel系とNavier-Stokes方程式を連立した方程式系を研究対象とし,適切性問題(初期値問題の“時間局所解の存在・一意性”)の解明に取り組んだ.研究成果は,国際学術論文誌 に投稿中である. Keller-Segel系には,解構造として初期個体数に関する閾値存在が知られているが,同閾値への流体影響指標創出は未解決問題である.本研究において,(Navier-Stokes方程式とは異なる)ある種の流体が創出する閾値のずれを初期条件相関で明らかにしており,研究成果は国際学術雑誌に投稿中である.同研究成果は,2018年2月に開催された「International Workshop on Mathematical Analysis of Chemotaxis」(東京理科大)において招聘発表され,同方程式系の大家であるM. Winkler等による高い評価を得ている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度には,Keller-Segel系とNavier-Stokes方程式を連立した方程式系を研究対象とし研究を推し進めた. 本研究において,(Navier-Stokes方程式とは異なる)ある種の流体が創出する閾値のずれを初期条件相関で明らかにしており,研究成果は国際学術雑誌に投稿中である.同研究成果は,2018年2月に開催された「International Workshop on Mathematical Analysis of Chemotaxis」(東京理科大)において招聘発表され,同方程式系の大家であるM. Winkler等による高い評価を得ている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には,数学解析と数値解析を両輪として研究を推し進める.29年度末に導入したWSを利活用し,数値シミュレーションを実施する.これによって,流体影響下における走化性方程式(Keller-Segel系)の解構造の詳細な定性構造を視覚化する.
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