2015 Fiscal Year Research-status Report
干渉計を用いたエキゾチック素粒子の探索のための基礎研究
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15K05099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山元 一広 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (00401290)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 未知素粒子探索 / 干渉計 / 低温 / 精密測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究概要:本研究は低温モノリシック振り子の動きをマイケルソン干渉計で観測し、エキゾチック素粒子によって励起される振り子振動を検出する装置の開発を行うのが目的である。申請時の平成27年度の目標は低温モノリシック振り子の開発である。 (1)組み上げ手順と強度:安全に組み上げることは可能か、及び想定され得る揺れに対する強度の確認を行った。まず組み立てのためのジグなどを開発し、実際に低温モノリシック振り子の組み立てた。無事終了し、また組み立て方のノウハウを習得した。組み立てたのちに何回かの地震が起こったが、破損しなかった(大きな揺れを回避する保護装置を入れていたため)。以上のことから安全に組み立てられること、またよほどの大きな地震や事故がない限り破損しないことが確認された。 (2)冷却及び熱負荷試験:冷却時間が十分短いか、想定される熱負荷のもと温度を低温を保てるかを調べた。まず組み立てたモノリシック振り子を冷却した。目標である10K程度以下まで冷却でき、予期せぬ大きな熱負荷はないことを確認した。冷却時間は数日である。これはクライオスタット自体の冷却より少し長い程度で予想通りであり、また長期観測において深刻な問題とならない。さらに振り子につけたヒーターに電流を流し、ヒーターによる熱と振り子の各場所の温度の関係を調べた。振り子内部に大きな温度差は生じなかったが、振り子の支持機構と振り子の根元の間に比較的大きな熱抵抗があることがわかった。またこれらの測定のためすでに10回程度の冷却と昇温を繰り返したが、熱収縮などによって振り子が破損することなかった。以上のことから長期運転に耐えられると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
振り子の支持機構と振り子の根元の間に比較的大きな熱抵抗が発見された。十分に振り子を冷却するためにはこの熱抵抗の問題を解決する必要がある。申請時には平成27年度に熱雑音の評価を行う予定であった。しかし熱雑音の大きさは熱抵抗の対策に依存するため、この対策が決定される前に行うことはあまり意味がない。よって熱抵抗問題の解決が急務である。
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Strategy for Future Research Activity |
概略:まず平成27年度の積み残しである熱抵抗の対策と熱雑音の見積もりを行う。このあとに干渉計のくみ上げと調整、試験的長期運転とデータ解析を行う。 (1)熱抵抗の対策:支持機構と振り子の根元の熱抵抗を低減する。既にいくつかの案(接触面積を増やすなど)を実験で検証する準備を進めている。このいずれかの方法でこの問題は解決できると予想している。 (2)熱雑音の見積もり:冷却したうえで、ふりこの機械的散逸を評価。測定された散逸と揺動散逸定理を用いて熱雑音を見積もり、充分に小さいことを確認する。熱雑音は熱抵抗の対策に依存するため、必要であれば再度熱抵抗対策の改良を行う。 (3)干渉計のくみ上げと調整:低温モノリシック振り子を用いてマイケルソン干渉計を組む。そのうえで調整を行う。まず少なくとも短期的(1日程度)に安定に運転できるように調整し、そのうえで雑音が小さくなるように調整を行う。以上が申請時の平成28年度の予定であった。多少遅れているが、安定運転に必要な調整までは行う予定である。 (4)試験的長期運転とデータ解析:まず1週間ほどの運転から始まり2,3ヶ月程度の長さの運転を行う。これによって長期運転のノウハウを得る。さらに得られたデータを解析する。以上が申請時の平成29年度の予定であった。雑音の低減も行う心づもりであったが、平成27年度の遅れで難しくなってきた。できるだけ雑音低減の努力を払う予定であるが、申請時に記述したように長期運転のノウハウの確立が最優先であるので、多少雑音が大きい状態であっても長期運転を行う。
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Causes of Carryover |
申請時の平成27年度の予算でサファイアの部品を購入する予定であった。新規に購入する予定であったが、偶然手持ちのものを流用することが可能となり、時間の節約のため、ますそちらを使用し低温モノリシック振り子を作成した。その代わりサファイアの部品の接合のために必要な物品を購入した。このため予算が余剰となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
申請時の平成28年度の予算はおもにサファイアの部品であった。平成27年度は偶然他のものを流用することが可能となったが、干渉計組み立てのためにはさらにサファイア部品が必要で、かつ事故などに備え予備があることが好ましい。平成27年度の余剰分をこれらにあてる。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Cryogenic Payload Issues2015
Author(s)
Kazuhiro Yamamoto
Organizer
ELiTES: 4th general meeting
Place of Presentation
Ookayama campus, Tokyo Institute of Technology, Mugero-ku, Tokyo, Japan
Year and Date
2015-12-02
Int'l Joint Research
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