2017 Fiscal Year Research-status Report
印刷技術を用いた飛跡検出器用集積回路高密度実装技術の開発
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15K05114
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
庄子 正剛 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准技師 (50646718)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 集積回路実装技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は印刷技術を用いた集積回路実装技術を開発することである。 印刷技術を用いて2次元マイクロパターンガス検出器のマイクロパターン電極と集積回路を同一基板上への実装へ向けた実装方法の原理検証を行う。本研究の研究要素としては、集積回路(以下ICチップ)の加工と高密度実装が可能な印刷技術の選択がある。 昨年度、我々は粘着シートの上に銀ペーストで微細配線を印刷した配線シートを試作した。この配線シートを用いてICチップ(電極サイズ数10um角)と基板電極(幅100um,電極間隔200um)の接続試験を行った。400um(もしくは60um)厚のICチップを上向きで実装し、ICチップ電極と基板パッドの間を配線シートで接続するとき、三角形の斜辺が配線シートの配線になる。この試験で配線シートがチップ角で断線することが判明した。また、実装試験において、印刷配線が焼けることがあった。これは印刷精度による配線厚の不均一と、それに起因する抵抗値のばらつきが原因と考えられ、配線の許容できる電流値を超えたためと考えられる。 チップ角への接触に起因する断線を防ぐため伸縮性銀ペースト(ウェアラブル端末などで用いられる伸縮する導電性ペーストであり、通常の銀ペーストと比較すると抵抗率が落ちる)を印刷配線に用いた。また、配線厚を約20umにすることで、伸縮性銀ペーストを用いることで抵抗値が高くなることを防ぐ。この印刷配線の配線抵抗と許容電流を測定した。この電気的特性はこれまで使用していた銀ペーストと伸縮性銀ペーストの両方で同様のパラメータの印刷配線を作成して試験を行ない比較を行なった。配線シートの電気的特性を検証した結果は、日本物理学会やマイクロエレクトロニクス実装技術のシンポジウム「Mate2018」で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
伸縮性銀ペーストを用いてICチップと基板電極接続用の配線シートを作成し電気特性評価を行った。伸縮性銀ペーストはこれまで使用していた銀ペーストと比較すると抵抗率が2桁落ちるため抵抗値や許容電流測定をする必要がある。電気特性評価によって、伸縮性銀ペースト用いた配線は、配線の抵抗値が銀ペーストを使った場合より高くなることが示された。また、電流耐性の測定では、配線幅・配線厚を同一にした測定で、線幅50um・配線厚約20umの伸縮性銀ペースト配線は、通常の銀ペーストのおよそ半分の電流しか流せないことがわかった。この電流耐性試験では、配線厚約20um,配線幅50um,100um,150um,200umの4種類の配線を試験しており、様々なICチップ電極や基板配線に対応するための知見を得た。特に配線幅が200umになると配線厚約20umの印刷配線はアンペアクラスの大電流を流せることがわかり、ICチップの実装への応用にとどまらず、大電流を必要とする電源配線にも応用可能であることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの配線シートの電気的特性評価によって、実装するICチップに要求される電流値に応じた適切な配線パラメータを選択することが可能となった。今年度は、ICチップ実装の確度を高めるため、ICチップの電極間隔と印刷配線間隔の最適化を目的とした高密度実装技術評価用集積回路を開発し実装試験を行う。集積回路の開発はシャトルラン(一つのウエハに複数の開発者が異なる目的の集積回路を混載して製造。コストを抑えることができる)で開発する。また、追試験で得られた研究成果はこれまでの成果と合わせて、各関連学会で発表する。
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Causes of Carryover |
本研究の実験精度を高めるため、次年度に高密度実装技術評価用集積回路を開発し、実装精度向上を目的とした評価を行う。次年度の集積回路の開発はシャトルラン(一つのウエハに複数の開発者が異なる目的の集積回路を混載して製造。コストを抑えることができる)で開発する。また、追試験で得られた研究成果はこれまでの結果と合わせて、各学会へ発表するための参加費と旅費に使用する。
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