2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K05134
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
徳永 英司 東京理科大学, 理学部, 教授 (70242170)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電気光学効果 / 気液界面 / 水 / ポッケルス効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
気水界面では反転対称性が破れていて、2次の非線形光学効果が発現する。これは振動分光法として和周波発生法に利用されているが、我々は、同じく2次の非線形光学効果で、電場に比例した屈折率(光学的誘電率を反映)変化が起こる電気光学ポッケルス効果に注目している。そこで、イオン交換水の水面に垂直に、面が向かい合うように2枚の白金電極を立てた実験配置で、界面に平行な交流電場を印加し、電極間の界面に垂直入射した白色光の透過率変化スペクトルを測定することで、気水界面のポッケルス効果を検出し、その大きさを評価し、発生メカニズムを推定した。得られた信号の特徴は、 (1)周波数fの印加交流電圧に対して透過率変化量が線形な1fモードの信号が優勢で、2fモードの信号はほとんど検出されない。(図2) (2)気液界面の水の透過率変化量の電極浸漬距離依存性はなく、電極が界面にあるときのみ信号。入射光の偏光依存性はない(印加電場に対して平行か垂直か)。 (3)水面をガラス板で覆うと信号が検出されない。 であり、界面の水を信号の起源とするポッケルス効果が発生していることがわかった。そのポッケルス係数は10^5 pm/Vのオーダーと見積もられ、電極界面の水のポッケルス係数よりも3桁大きい。これは界面水分子は水素結合による束縛が少なく電場に応答して動きやすいことを反映していると考えられる。全く異なる信号発生メカニズムとして、エレクトロウェッティングによる界面の傾きの変化による透過率変化の寄与は無視できることを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
界面平行電場でポッケルス効果が起こることを発見し、発生メカニズムについてある程度絞り込めたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
不思議なことは、ポッケルス効果が起こるためには界面に垂直な電場印加が必要であり、界面に平行な電場では電場の向きが反転しても鏡映で重なり屈折率変化の符号は反転しない=ポッケルス効果が起こらないはずであることである。そこで実験の電極配置で有限要素法により電場分布を計算したところ、電極間中心を離れると微小だが垂直な電場が存在することがわかり、実験で光の入射位置を中心からずらすと信号が大きくなったことからこの界面垂直電場が信号を発生させている可能性が高いことを示した。電極間中心に入射しても信号が発生することは、電極の配置の対称性が少しでも悪くなると、電極間中心位置にも垂直な電場が発生することから説明できる。 平行電場印加による垂直電場は微小であることを考慮すると、ポッケルス係数はさらに巨大になる。界面に垂直に電場を印加する実験も行っていて、さらに大きな信号を検出しているが、実験結果に不安定性があり、その原因を追究中である。この2点は大きな課題となっている。
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Causes of Carryover |
2年目に柔軟な予算の使用ができるように、できるだけ節約して研究遂行のための最小限の買い物にとどめたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ロックインカメラでなく、より高額なハイスピードカメラの購入を検討する。
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Research Products
(2 results)