2017 Fiscal Year Annual Research Report
Pairing mechanism of multiband full-gap superconductivity in heavy-electron systems
| Project/Area Number |
15K05158
|
|---|
| Research Institution | The University of Tokyo |
|---|
Principal Investigator |
橘高 俊一郎 東京大学, 物性研究所, 助教 (80579805)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
| Keywords | 超伝導ギャップ / 比熱 / 磁場角度依存性 / 圧力下比熱 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は常圧下における磁場角度分解比熱測定からU0.97Th0.03Be13とFeSeのギャップ構造に関する重要な知見を得た。
U0.97Th0.03Be13はフルギャップ超伝導状態が有力視されるUBe13のUサイトをThで3%置換した物質である。Th置換により超伝導状態に2段転移が現れることが知られており、複数の秩序変数が縮退した珍しい超伝導状態にあることが期待されている。本研究では、U0.97Th0.03Be13の比熱の磁場・磁場角度依存性を極低温で測定し、UBe13と同様にTh置換で発現する超伝導多重相内部でも低エネルギーの準粒子励起が顕著には見られないことを突き止めた。本結果は、U0.97Th0.03Be13においてフルギャップ超伝導の実現可能性が高いことを示唆しており、有力なギャップ対称性としてEu対称性を提唱した。本研究成果をまとめた論文はPhys. Rev. B誌で公表し、Editors' suggestionに選ばれる高い評価を受けた。
FeSeはTc=9Kの鉄系超伝導体であり、超伝導ギャップ構造がホットな話題となっている。極低温の比熱の磁場依存性からサイズの異なる3つのギャップが存在する可能性を指摘し、それぞれのギャップ異方性を比熱の磁場角度依存性から詳しく調べて有力なギャップ構造を提示した。本研究成果をまとめた論文はPhys. Rev. B誌で公表した。加えて、試料の純度が低下するとノード的な比熱の振る舞いが抑えられ、フルギャップ的になることも見出した。
他にも、UCoGeやURhGeについて比熱や磁化の磁場角度依存性を明らかにし、超伝導や磁気異方性に関する新たな知見を得た。昨年度行ったSr2RuO4の磁場角度分解比熱測定の結果については論文にまとめて学術誌に投稿し、現在査読中である。
圧力下比熱測定に関しては、対向アンビル型圧力セルでもピストンシリンダー型圧力セルと同様に磁場角度分解交流比熱測定を行うことに成功し、今後の研究発展に繋がる実験装置・技術の確立を達成できた。
|
Research Products
(21 results)
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Fully gapped superconductivity with no sign change in the prototypical heavy-fermion CeCu2Si22017
Author(s)
T. Yamashita, T. Takenaka, Y. Tokiwa, J. A. Wilcox, Y. Mizukami, D. Terazawa, Y. Kasahara, S. Kittaka, T. Sakakibara, M. Konczykowski, S. Seiro, H. S. Jeevan, C. Geibel, C. Putzke, T. Onishi, H. Ikeda, A. Carrington, T. Shibauchi, and Y. Matsuda
-
Journal Title
Sci. Adv.
Volume: 3
Pages: e1601667(1-7)
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Superconducting gap structure of Sr2RuO4 revisited by the field-angle-dependent specific heat at very low temperatures2017
Author(s)
S. Kittaka, S. Nakamura, T. Sakakibara, N. Kikugawa, T. Terashima, S. Uji, D. Sokolov, A. P. Mackenzie, K. Irie, Y. Tsutsumi, and K. Machida
Organizer
International Conference on Strongly Correlated Electron Systems 2017 (SCES2017)
Int'l Joint Research
-
-
-
-
