2019 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on integrable non-equilibrium statistical mechanical models
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15K05203
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| Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
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Principal Investigator |
笹本 智弘 東京工業大学, 理学院, 教授 (70332640)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 非平衡統計力学 / 揺らぎ / KPZ普遍性 / ランダム行列 / 流体力学 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
研究期間全体を通じて、可積分な構造を持つ非平衡統計力学模型に関する理解を深めるいくつかの成果を得ることができた。まず１次元Kardar-Parisi-Zhang(KPZ)普遍性クラスに属するモデルに対して、新たな解析法を開発した。これは従来標準的に用いられてきた手法にあった発散の困難が存在しないという長所を持った手法である。当初、q-TASEPと呼ばれるモデルの定常的な状況に対して適用し、その後KPZ普遍クラスに属する多くのモデルを特別な場合や極限的な場合として含む確率的６頂点模型と呼ばれるモデルに一般化した。特に、粒子の一の揺らぎが長時間の極限でBaik-Rains分布と呼ばれる分布に収束することを証明した。
この解析においては、q-Whittaker関数と呼ばれる多変数関数が重要な役割を果たし、その適当な母関数を考えると行列式構造が現れることが以前から知られていたが、そのメカニズムについてはまだ十分な理解がなされていない。今年度はq-Whittaker関数とランダム行列理論のより明確な関係を見い出すための考察を進め、いくつかの興味深い対応を得ることができた。
本研究課題においては、これまで１成分系に対してのみ行われてきた計算を多成分系に拡張することが一つの目的であったが、AHRモデルと呼ばれるモデルに対してそれを実行することに成功した。この結果は、揺らぐ流体力学と呼ばれる有効理論の予言をミクロな計算から検証する最初の例も与えるものであった。当初の結果は特殊な初期条件に対するもののみであったが、最終年度においては他の初期条件にも適用できるよう拡張を進めた。
さらに、量子スピン鎖におけるスピン流の揺らぎに関する研究も行い、ランダム行列理論と関係が深いことを見い出すという成果も得た。
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