2017 Fiscal Year Research-status Report
日平均および気候平均気温グリッドデータに対する高地観測データ入力の重要性の評価
Project/Area Number |
15K05291
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安富 奈津子 京都大学, 防災研究所, 特定研究員 (20548218)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 気候平均気温 / 山岳地域 / モンスーンアジア |
Outline of Annual Research Achievements |
9月に中国、モンゴルの研究者を招聘し、観測データやグリッドデータの品質に関わる情報を交換したり、気候変動解析にかかる研究打ち合わせを実施した。11月には他経費ではあるが、ネパールを訪問し、現地の気象観測にかかる情報を収集した。とくに、孤立異常値の検出プロセスの精度がよくないという指摘を現地の技術者から受け、品質管理プログラムの修正を実施した。そのほか、多くのアジア諸国の技術者、研究者と交流をはかる機会を得て、観測データに関する技術的な疑問点を解消し、本研究で検出した異常値の情報を提供するなど彼らの帰国後も引き続き交流を深めている。 また、中国、モンゴル、インド、ネパール、タイ、ラオスなどアジア各国の日平均気温と降水量の地点観測データを入手し、それらを新たに加えたグリッドデータを作成した。0.05度格子の日平均気温気候値データと、0.25度/0.5度の日平均気温データ(1961-2007年)の期間についてデータセットを更新した。データの更新にあたっては、修正アルゴリズムを用いた観測データのグリッド化計算とデータ品質管理のプログラムを使用した。 インド、ネパールなどの高地のデータ、とくに、インドのジャンムーカシミール地方のデータは、現行の日平均気温グリッドデータセットには入力されておらず、4000m級の地点データが入力されたことで気候平均場に+4度以上の上昇バイアスが生じた。現行プロダクトだけではなく、他の観測気温気候値データや衛星観測を使用してデータ補正をした気温データセットと比較しても同程度かそれ以上の差があり、入力データの影響が非常に大きいことがわかった。 高地データの大きなインパクトがある新しいデータセットは、データの最終確認段階にあり、公開準備を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は今年度中に日平均気温グリッドデータを公開し、成果を論文にまとめていく予定であった。 7月から9月に多くの観測データを入手したが、その後も断続的にデータ提供があり、観測データの受け入れを中断してグリッド計算に入るタイミングを見誤ってしまった。 一方で、アジア各国のデータの増加に関しては予想以上であり、中国、モンゴル、インドなどについて概ね2015年までのデータを入手できており、インターネットで公開されている気象データセットを更新することで、同程度の品質でのデータ延長が可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2008年から2015年のデータ解析期間の延長が可能なだけの観測データ入手ができたので、これらを活用してグリッドデータを作成、延長する。 ヒマラヤ地域の気温が、観測データの有無によってどの程度変化しているのかを精度よく見積もり、他の高地でも同様の変化があるのか、ない場合にはこの地域でなぜそのような大きな差が生じるのか、気候学的に考察する。
|
Causes of Carryover |
2016年11月末から2017年4月まで産休、育休を取得したため、2016年度から本年度初めまで研究活動を中断した。子が小さいため海外出張にも支障があり、外国旅費が大幅に残ってしまった。そのため研究期間を1年延長して次年度使用額を2018年6月のハワイでの国際会議や国内の学会参加などに使用する。また、英文校閲や論文投稿にも使用する。研究期間の終了に備え、データストレージやデータの管理・公開環境を整備する。
|
Research Products
(4 results)