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2016 Fiscal Year Research-status Report

超臨界水の水素結合受容能・供与能の指標化とプロトン移動反応への適用

Research Project

Project/Area Number 15K05399
Research InstitutionDoshisha University

Principal Investigator

木村 佳文  同志社大学, 理工学部, 教授 (60221925)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords超臨界水 / 超臨界アルコール / 水素結合 / ベンゾフェノン / ラマン / プロトン移動
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、超臨界水や超臨界アルコールの水素結合受容能、供与能をパラメータ化し、これらの溶媒中でのプロトン移動反応との関連を明らかにしていくことが目的である。今年度は、水・アルコール混合溶媒系における水素結合特性の評価、ならびに5,8-ジシアノ-2-ナフトール(DCN2)をもちいたアルコール溶媒中でのプロトン移動ダイナミクスの評価を行った。昨年度作成した温度制御用ジャケットを用いて、実験を試みたが、温度上昇速度は向上したものの、温度制御の安定性において、従来のものと比べて悪くなってしまった。ヒーターの出力制御等に問題があると考えられ、その部分の改良を進めた。ラマン分光法による水素結合性の評価については、水・メタノールおよび水・エタノールの混合溶媒において、混合比を変えてベンゾフェノンのラマンバンドの測定をおこない、水の水素結合供与性の評価をおこなった。さらに水とアルコールの混合系においてp-ニトロアニリンのNH2伸縮のラマンバンドの測定をおこない、超臨界状態での評価が可能であることを確認し、現在測定を進めているところである。
プロトン移動反応速度についてはDCN2の合成を完了した。当初水溶液で測定する予定であったが、水に対する溶解度が小さく、また蛍光の量子収率も小さかったので、測定が困難であることが判明した。そこでアルキル鎖長の異なる種々のアルコール中でのプロトン移動速度の測定を行ったところ、移動速度がアルコールのET値に線形に依存することがあきらかとなった。また超臨界領域に至るメタノール中での評価をおこない、BPを用いて本研究で評価したメタノールの水素結合供与性のパラメーターと相関があることが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

ラマン測定について、実験条件の設定に問題があったことが判明し、実験のやり直しなど行う必要があったため、予想以上に時間を消費してしまった。またDCN2の合成については、最終段階での反応条件を最適化するのに時間がかかってしまい、測定に取り掛かるのが遅くなってしまった。また、超臨界水条件で測定を行うつもりであったが、水にほとんど不溶であることが判明し、実験計画の変更を余儀なくされた。また昨年度は電子状態計算も企画していたが、時間的な余裕がなく進めることができなかった。しかしながら、実験的な問題を解決しつつ、論文としてすでに成果の一部は投稿済みであり、国際会議での発表もふくめ、学会報告も着実に行っている。また、アルコール中でのプロトン移動速度の測定において、超臨界条件も含めて、溶媒の水素結合能との相関に関して非常に興味深い結果が得られており、研究プロジェクト全体としては着実に成果をあげつつあると考えている。

Strategy for Future Research Activity

本年度が最終年度であるため、研究の最終的な取りまとめを見越して研究を行う予定である。まずベンゾフェノンの系については、水・アルコール混合系におけるデータを確定する。純溶媒の結果を参照することにより混合系での水の役割について評価する。またp-ニトロアニリン(PNA)を溶質分子として、水・アルコール混合溶媒としてラマン測定を引き続き行い、超臨界水を含む溶液中での水素結合受容能の評価をすすめる。この場合も準溶媒での結果はすでに報告済みなので、その結果を参考に水の役割について評価を進める。プロトン移動については、DCN2の常温常圧の種々のアルコール中での測定結果、ならびに超臨界メタノール中での測定結果の再現性の確認をおこなうとともに、超臨界エタノールおよびプロパノール中での速度の評価を行うことで、実験の観点から溶媒の水素結合性のパラメータとの相関を明らかにする。可能であれば、水との混合溶媒での測定も試みる。一方で、今年度は昨年度実行できなかった電子状態計算に取り組む。ノーマル体およびプロトンが解離したアニオン体の、基底状態と励起状態における電子状態をDFTおよびTD-DFTによりそれぞれ評価する。これに対して、溶媒和クラスターとして水分子が1個あるいは数個結合したクラスターを作成しその安定状態を探り、水素結合によるエネルギー変化の詳細を探る。
以上の実験データを総合的にリンクし、水素結合性の超臨界流体における水素結合性とプロトン移動反応速度について評価を行う。

Causes of Carryover

高圧セル用の光学窓の費用として残しておいたが、新規に導入した研磨ツールにより、光学窓が予想ほど割れなかった。その為、追加発注の時期が年度末となり次年度での清算となったため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

今年度、高圧セル用の光学窓の費用として利用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] 水-アルコール混合系の超臨界状態における水素結合の検討2016

    • Author(s)
      福良隆志,八坂能郎,上野正勝, 木村佳文
    • Organizer
      第39回溶液化学シンポジウム
    • Place of Presentation
      産業技術総合研究所、つくば
    • Year and Date
      2016-11-09 – 2016-11-11
  • [Presentation] Raman spectroscopic study on the hydrogen-bonding donating ability of supercritical alcohols and their mixtures with water2016

    • Author(s)
      Y. Kimura、T. Fukura, M. Okada, Y. Asada, Y. Yasaka, M. Ueno
    • Organizer
      Joint EMLG/JMLG Annual Meeting 2016
    • Place of Presentation
      Platanias, Greece
    • Year and Date
      2016-09-11 – 2016-09-16
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-01-16  

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