2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of optical control method of cell organelle function by photoindeuced charge separation molecule
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15K05563
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高野 勇太 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (60580115)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光誘起電荷分離分子 / フラーレン / ポルフィリン / 金属内包フラーレン / スーパーオキシド / ミトコンドリア / 光線療法 / 光酸化還元反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である本年度は、昨年度に引き続き(a)両親媒性フェロセンーポルフィリンーフラーレン連結型分子と(b)メシチル-アクリジニウム骨格を有する分子についてそれぞれ、細胞内における光機能性についての評価を進め、研究データをまとめたうえで論文投稿を行った。これらはそれぞれ、イギリス王立化学会発行のナノサイエンス研究における権威ある雑誌であるNanoscale(2報)に研究成果が掲載された。これは本研究における新規性と、次世代ナノ材料としての有用性を評価されたことを裏付けるものである。 また本年度は(a)(b)をベースとした研究展開を目指し、各種検討と分子改良を進めた。(a)について、細胞内光機能性発現のためのトリガーとしてこれまでは青色光しか利用できなかったが、分子改良により細胞膜流動性を高めて電荷分離効率を向上させることによって緑色光照射をトリガーとして利用することを可能とした(J. Phys. Chem. C誌 2017掲載成果)。さらにin vivo応用にてアドバンテージが大きい、生体透過性の高い近赤外光の利用を試みてポルフィリン光吸収部位の拡張を行った。これにより近赤外光を利用して(a)の分子系を細胞光操作に利用できる可能性を見出している。一方(b)については、より水溶性を高めることにより、高い光利用効率による光機能性の発現を目指した。プロトン性の置換基を導入することで分子の機能性にpH依存性を付与することに成功した。今後は、この知見をもとに高い量子収率にて光誘起電子移動反応を実現し、かつ細胞内部位指向性の高い分子系の開発を進めたいと考えている。 総じて当初計画通り研究を進めることができ、光誘起電荷分離現象を利用した新しい細胞操作および光治療に向けた基盤づくりができた。今後はin vivo系への展開を狙うことで、新しい光治療の実用化にむけた社会に貢献できる分子材料の技術開発を行いたい。
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Research Products
(15 results)