2015 Fiscal Year Research-status Report
低次元D-Aナノ結晶の合成とフォトトランジスタへの展開
Project/Area Number |
15K05615
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
若原 孝次 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, 主幹研究員 (40303177)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フラーレン / ドナー / アクセプター |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、低次元D-Aナノ結晶の合成と構造解析を主として行った。 低次元D-Aナノ結晶の合成方法としては、すでに申請者らが開発してきた液―液界面析出法を用いた。このステップで重要な点は、用いるドナー分子である。フラーレンと用いるドナー分子の溶解度に大きな違いがある場合は、本液―液界面析出法は用いることはできない。そこで、フラーレンであるC60と芳香族系の有機溶媒に対し高い溶解性を有するテトラフェニルポルフィリンやその誘導体を用いて検討を行った。 また、液―液界面析出法においては、溶媒や温度、貧溶媒の量など、多くの条件によって生成する結晶の形や構造が異なってくることをすでに明らかにしている。そこで、これらのパラメーターを最適にし、デバイス作製に最適な低次元D-Aナノ結晶(ファイバー状、あるいはシート状で、直径や厚さが数十nm)の合成を検討した。 光学顕微鏡や電子顕微鏡などを用い、低次元D-Aナノ結晶の形状を明らかにした。さらに、ラマン分光、赤外吸収スペクトル、UV-Vis吸収スペクトルの測定や、XRDの測定により、その結晶構造などを明らかにした。特に、UV-Vis吸収スペクトルの測定により、CT吸収帯を明らかにすることに成功した。液―液界面析出法において、界面の状態を保ったまま結晶化させる方法を使用することで、低次元D-Aナノ結晶と同様な結晶構造を有するマイクロ~ミリサイズの低次元D-A結晶を得ることができる。このようにして、サイズアップした結晶を用いて、最終的な結晶構造を、X-線結晶構造解析法により行った。結晶構造の解明は、フォトトランジスタにおける特性を推測するためにも、非常に重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度は、低次元D-Aナノ結晶の合成と構造解析を主として行い、C60とポルフィリンからなるD-Aナノ結晶の合成に成功した。本D-Aナノ結晶のX-線結晶構造解析から、本D-Aナノ結晶が新規な結晶構造を有することを明らかにすることができた。また、本D-Aナノ結晶を用いた電界効果型トランジスタの作成にも成功しており、当初の予定よりも早めに研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、当初の計画以上に進展しており、今後は、C60だけでなくC70を用いてD-Aナノ結晶の作成を行うとともに、D-Aナノ結晶を用いた電界効果型トランジスタの作成をさらに展開していく予定である。
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