2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K05636
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
森田 成昭 大阪電気通信大学, 工学部, 准教授 (20388739)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 双性イオン性高分子 / pH / 赤外スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度において,濃度依存ATR-IR測定システムを完成させ,バイオマテリアルを含む様々な試料の濃度依存ATR-IRスペクトルやpH依存ATR-IRスペクトルを測定した.pH依存ATR-IRスペクトル測定において,塩の生成が問題となったが,滴定の方法を変えることで問題を解決した.測定した試料のうち,側鎖にカルボキシベタイン構造を有する合成高分子において,酸性側で構造変化が起こることが見いだされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに濃度依存ATR-IR測定を行えるようにし,溶液と接した高分子フィルムの赤外スペクトルが溶液の濃度やpHによって変化することを確認した.このとき,pH依存ATR-IRスペクトル測定において,塩酸と水酸化ナトリウムを用いた酸塩基滴定によりpHを変化させると,塩化ナトリウムが生成するため,浸透圧変化により高分子フィルムの含水状態が変化してしまうことがわかった.そこで,塩酸,もしくは水酸化ナトリウム水溶液に純水を滴定することで,塩化ナトリウムの影響を受けずに,pHを時間に対してリニアに変化できるようにした.これにより様々な試料の測定を行ったところ,側鎖にカルボキシベタイン構造を有する合成高分子において,酸性側で構造変化が起こることが見いだされた.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,特徴的なスペクトル変化が観察された側鎖にカルボキシベタイン基を有する合成高分子について,pH依存ATR-IRスペクトル,pHジャンプ時間依存ATR-IRスペクトル,温度依存赤外スペクトル,等を得ている.今後,これらの大量のスペクトルをデータ解析し,分子構造変化に関する知見を得る.このとき,研究代表者が開発したPCMW2D法を用いる予定である.
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Causes of Carryover |
今年度は濃度依存ATR-IR測定システムの完成に尽力したため,様々な試料について検討する余裕がなかった.次年度,試料数を増やし,実験を行っていく予定である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に検討予定のバイオマテリアルは入手済みである.それらの試料について実験を行うための溶媒等を消耗品として購入し,得られた成果を学会等で発表するために予算を使用する予定である.
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