2015 Fiscal Year Research-status Report
ドメイン及び界面制御を指向したブロック共重合体の創製と有機薄膜太陽電池への展開
Project/Area Number |
15K05661
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
荻野 賢司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10251589)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ブロック共重合体 / 界面制御 / 有機薄膜太陽電池 / ドメイン配向制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリジメチルシロキサン(PDMS)をセカンドブロックとしたブロック共重合体について合成を検討し、組成の異なる共重合体を合成した。様々な分子量の末端アミノ基を有するPDMSは、アニオン重合、アリルアミンとのヒドロシリル化反応により合成した。片末端臭素のポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)は既報に従って合成した。非対称ペリレンジイミドはワンポットで合成した後、溶解性の違いを利用して分別できた。これをホウ酸エステルとした後、片末端臭素のP3HTとの鈴木カップリングで目的のブロック共重合体を合成した。また、ポリスチレン(PS)をセカンドブロックに用いた共重合体の合成に用いる末端アミノ基を含むPSも合成したが、その後の非対称ペリレンイミドの合成が難しく、分子設計を検討中である。赤外、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、示差走査熱量計(DSC)や核磁気共鳴装置を用いて構造解析により合成を確認した。有機薄膜太陽電池材料としての評価に関しては、ペリレンイミドを接合部に含まないブロック共重合体(P3HT-b-PDMS、PDMS含量:3.5、5.4、9.6wt%)について行った。ブロック共重合体とPCBMを溶解させた後、PEDOT/PSSフィルムをコートしたITO基板にスピンコートで厚さ70-100 nm程度の薄膜を作製した。熱アニールにより相分離構造を誘発し、活性層とした。相構造は原子間力顕微鏡や透過型電子顕微鏡で観察し、P3HT/PCMBのブレンド物と比較して、ドメインサイズが小さくなることを見出した。また、150℃での加速試験の結果、ブロック共重合体の場合、PCBMの結晶化が抑制されることがわかった。素子の特性に関してはブロック共重合体のPDMS含量が増加するにつれて、短絡電流密度が増加しPDMSの存在により適切なモルフォロジ-が薄膜中に形成されていることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリスチレンをセカンドブロックにし、接合部にペリレンイミド単位を配置したブロック共重合体の合成が遅れてはいるものの、セカンドブロックにポリジメチルシロキサンを用いたものについては合成が完了した。また、有機薄膜太陽電池の活性層としての評価に関しては、ペリレンジイミド単位を含まないポリジメチルシロキサンをセカンドブロックとした共重合体について終了した。以上のことから進捗は、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
接合部にペリレンイミドを配置したブロック共重合体に関して、ポリジメチルシロキサンをセカンドブロックとしたものについては有機薄膜太陽電池の活性層としても評価を進めると同時に、X線構造解析、各種分光分析により薄膜の構造とポリマーの構造の関連、及び素子特性の関連を議論する。セカンドブロックとしてポリスチレンを用いるブロック共重合体については、ポリスチレンを合成する際の原子移動型ラジカル重合の開始剤を変更し、末端にアミノ基を有するポリスチレンを新たに合成する。
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