2015 Fiscal Year Research-status Report
硬化歯車の高面圧時表面温度評価手法に関する基礎的研究
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15K05774
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
東崎 康嘉 近畿大学, 理工学部, 教授 (60610540)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 表面温度 / 焼付き / トライボロジー / 歯車 / スコーリング / 高面圧 / 熱起電力 |
Outline of Annual Research Achievements |
SUS316(プラズマ浸炭)とS55C(高周波焼入れ)を用いることで発生する歯面温度を計測するシステムの構築を完了した。第一に実施したことは、回転体からの電気信号を取り出すためのスリップリングの選定である。なるべくノイズの小さなスリップリングの調査を行い、銀合金接点を有するスリップリング2種の比較試験を行い、想定される熱起電力より小さなノイズしか発生しないことを予備試験で確認し、スリップリングの選定作業を完了させた。第二に実施したことは、歯車のかみあい幾何学的変化と温度変化が対応する計測系を構築することである。本研究では、かみあいの幾何学的変化と温度変化を対応づける必要がある。そのために歯車回転角度は高精度レーザー変位計を用いて構築し、歯車側にも変位計のターゲットとなる溝加工を実施した。第三は歯車の荷重分担(歯元曲げ応力で代表)と温度変化が対応する計測系を構築するとともに、歯車の潤滑状態(電気導通で代表)と温度変化が対応する計測系を構築することである。歯元曲げ応力に関しては計測位置、計測ゲージの選定を完了し、電気導通も計測回路の計画を完了した。計測に必要な計器はデータレコーダも含めて入手している。 次に、本研究では1GPa以上の高面圧下で温度計測を行うことが最大の目標である。そのために、歯車の歯筋を円弧上にすることで面圧の増加を狙うことを行った。歯幅10mmで曲率半径30mm程度のクラウニング加工が可能な研削盤の調査と加工条件の選定を終了し、 SUS316(プラズマ浸炭)に加工を実施し、プラズマ浸炭も実施済である。S55C(高周波焼入れ)の歯車製作及び熱処理も完了している。 さらに2歯のかみあう範囲で生ずる電気的並列回路を防ぐために、1歯飛びに歯を切取る交互欠歯車加工の製作も完了し、今後2枚の歯車の間に絶縁材をはさみ歯車のピッチ合せを行い、絶縁ボルトで締結する作業を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SUS316(プラズマ浸炭)とS55C(高周波焼入れ)を用いることで発生する歯面温度を計測するシステムの構築を完了しており、計測に必要な計器はデータレコーダも含めて入手している。次に、本研究では1GPa以上の高面圧下で温度計測を行うことが最大の目標である。そのために、歯幅10mmで曲率半径30mm程度のクラウニング加工が可能な研削の調査と加工条件の選定を終了し、SUS316(プラズマ浸炭)に加工を実施し、プラズマ浸炭も実施済である。S55C(高周波焼入れ)の歯車製作及び熱処理も完了している。 さらに2歯のかみあう範囲で生ずる電気的並列回路を防ぐために、1歯飛びに歯を切取る交互欠歯車加工の製作も完了し、今後2枚の歯車の間に絶縁材をはさみ歯車のピッチ合せを行い、絶縁ボルトで締結する作業を行っていく。 したがって、高面圧下で硬化歯車の表面温度計測する準備は全て完了しており、今後は実際の計測作業を行っていく。また、表面温度予測手法についてもBlokの式を中心に予測式の準備を行っており、計測結果との対応を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
高面圧下で硬化歯車の表面温度計測する準備は全て完了しており、今後は実際の計測作業を行っていく。研究計画の変更は現状ない。目標の1GPa以上での条件下で歯車表面温度を計測し、歯車の幾何学的変化、歯車の荷重分担(歯元曲げ応力で代表)と歯車の潤滑状態(電気導通で代表)と温度変化がどのように対応するかを確認していく。ほぼ、所定のデータが取得できたら、つぎに歯車の歯形、潤滑剤などを変更した試験データを取得する。 あわせて歯車表面温度予測値との対応を行っていく。もし、そこに差異がみられる場合は考察を行い、以降の研究推進の課題とする。
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Causes of Carryover |
本研究では1GPa以上の高面圧下で温度計測を行うことが最大の目標である。そのために、歯車の歯筋を円弧上にすることで面圧の増加を狙うことを行った。歯幅10mmで曲率半径30mm程度のクラウニング加工が可能な研削盤の調査と加工条件の選定に時間を要した。 SUS316(プラズマ浸炭)にクラウニング加工を実施し、プラズマ浸炭を実施したが、それにも時間を要した。そのために、ゲージ貼付や計測配線作業の計画は終了し発注まで完了したが、実際の作業が未完で計上されなかったために、次年度使用額が生じた。また、動ひずみ測定器など選定が終了しているが、発注が未済の機器も一部ある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ゲージ貼付や計測配線作業の計画は終了し発注まで完了したが、実際の作業が未完で計上されなかったために、次年度使用額が生じた。ゲージ貼付や計測配線作業は次年度早々実施するので計上される。また、動ひずみ測定器など選定が終了しているが、発注が未済の機器も一部ある。発注が未済の機器も至急発注する。 その他、ゲージ貼付や計測配線作業実施にともなって必要な消耗品等も具体化するために、次年度使用が発生した予算は早々に消化される。
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Remarks |
計測系に関する情報を公開している。
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