2015 Fiscal Year Research-status Report
放電場制御による多電極プラズマアクチュエータの性能向上に関する研究
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15K05797
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松野 隆 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90432608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 浩之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60545945)
金崎 雅博 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (10392838)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 圧縮・非圧縮流 / 流体制御 / プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高速・大スケール流れにおいても高い流体制御力を持つプラズマアクチュエータを開発することを目的として研究を行っている。特に多電極型電場付加プラズマアクチュエータを基盤として,放電時のプラズマ生成・加速の物理に注目し,これらが推力生成に最適となるようなプラズマアクチュエータの構造・駆動手法を探索・提案している。 平成27年度は,プラズマ生成・加速機構における,推力向上のキーとなる特性量の抽出に注力した。電極形状・位置をパラメータとして多電極プラズマアクチュエータ素子を設計・製作し,印加電圧を種々変化させた際の生成する運動量(推力)を直接測定した。電極での放電の空間分布を電極へ突起を与えることで安定化させることで,電極間における誘起噴流の複雑な干渉を排除し,強い噴流を生成することに成功した。同電圧では過去に製作した三電極プラズマアクチュエータに対して2。1倍,一般的に用いられているSDBDプラズマアクチュエータに対しては17。5倍の推力生成が確認された。またこのときの対向噴流の作る速度場は高速度PIV法により解析され,予測通り誘起噴流の干渉が押さえられていることが確認された。 同時に,数値解析により多電極プラズマアクチュエータの放電進展とプラズマ生成・加速メカニズムを解析した。これにより,対向噴流を形成する付加電極側の体積力生成メカニズムが明らかになり,体積力生成には電極における二次電子放出と付加電極への電圧印加による電場増強がともに大きな役割を持っていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,研究期間内に,一般的に利用されているSDBDプラズマアクチュエータ素子に対して10倍以上の誘起噴流速度・推力を達成することと,高い流速 (>30m/s) での流体制御性能の優位性を実証することが目標であるが,上記の通り,数値的には研究期間内の最低限の目標は既に達成することが出来た。この点においては,研究の進捗状況はおおむね順調であると判断した。一方で,プラズマ生成・加速機構の解析結果を生かした推力向上手法の提案には未だ至っておらず,これらは平成28年度中に実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は既提出の研究計画に沿った形で推進する。まず,数値解析と実験の結果より,複数電極プラズマアクチュエータの体積力生成におけるイオン生成・加速それぞれの寄与と,影響を与える主な物理パラメータ・現象を抽出する。ここか主な物理パラメータが変化するように素子と駆動条件設計を行い,これらの現象がキーとなっていることを実証する。 その後,この知見を元に新しいプラズマアクチュエータ素子の機構を設計する。プラズマ生成とそれを加速する電場付与を,データマイニングの結果を用いて個別に設計し統合するとともに,進化計算を用いた大域的最適化(EGO)法を用いて,上で得られた目的関数(主物理パラメータ)が最適となるようにプラズマアクチュエータの仕様・駆動条件を最適化し,誘起噴流の推力を最大化する素子形状・駆動条件を探索する。このとき,実験においては推力測定と時系列PIV試験を主に使用する予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定品(カメラ)の見積額違い
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度助成金と合わせて早急に購入する
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