2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K05833
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
野村 信福 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20263957)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | プラズマ / 分解 / 水素 / セルロース / HMF / 液中プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではセルロースの燃料転化を目的として,セルロース分散液とグルコース水溶液で液中プラズマ分解実験を行い分解過程と生成気体を調べた。グルコース,セルロースともに,分解によって発生するガスの50から70%が水素ガスであった。グルコースと液体状態のセルロースの反応はプラズマによる直接的な分解反応ではなく,OHラジカルによる酸化力によってグルコースやセルロースが間接的に分解される。一方で,セルロースの濃度が高くなって、40wt%を越えると,固形物となってプラズマ内に供給されるので,プラズマによって直接分解されるため,水素発生量は飛躍的に増加した。また,超音波とプラズマ重畳効果によって,水素生成量が増加することを明らかにした。さらに,水素生成効率を向上させる目的で,水蒸気をプラズマ反応場に導入する実験を実施し,一定の効果を得た。 セルロースを含む物質をプラズマ反応場に直接導入した後に,溶液を液体クロマトグラフで分析した結果,プラスチックの原材料として用いられるヒドロキシメチルフルフラール(HMF)の一つ、5-HMF,フルフラール,および微量ではあるが,グルコースの生成が確認された。セルロースが加水分解することによって単糖のグルコースが生成され、さらにそのグルコースが脱水反応することよって5-HMFが生成される。実験後の溶液にグルコースが少量であることから、プラズマはセルロースの結合をすべて断ち切れてはいないが、生成された少糖類が脱水反応を起こし、5-HMFが生成されたと考えられる。この手法を発展させれば、廃棄系バイオマスのプラズマ処理によって、燃料ガスの水素とHMFの同時合成が期待できる。 これらの知見をもとに,超音波を使ったセルロース分解実験を別途実施し、これらの結果を裏付ける結果も得ている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)糖類の分解実験を実施し,水素ガスの回収に成功した。 (2)超音波導入による効果を調べ,超音波による重畳効果によって水素生成量が増加することを明らかにした。 (3)セルロースを分解し,HMFを合成,その生成メカニズム明らかにした。 (4)水素生成効率を向上させる目的で,水蒸気をプラズマ反応場に導入する実験を実施し,水蒸気改質反応が発生することを明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)HMFの収率をあげる方策を考える。具体的には,低温プラズマから高温プラズマに至るまで,プラズマの非平衡性を制御した実験を実施する。 (2)単糖のグルコースを精製する。これができれば,エタノールへの転換プロセスが実現できる。このため,プラズマ内の反応を促進させる目的で酵素やイオン液体を導入した実験を実施する。 (3)反応プロセスを解明する。具体的にはOHラジカルの分光測定を行い,OHラジカルの濃度が反応場に及ぼす影響を明らかにする。
|