2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K05833
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
野村 信福 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (20263957)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プラズマ / 分解 / セルロース / 分光測定 / 水素 / 液中プラズマ / 誘電体バリア放電 / HMF |
Outline of Annual Research Achievements |
大気圧非平衡プラズマは,常温常圧で高活性な反応場をシンプルな装置で提供でき,反応材料の選択性が高いなど数多くの優れた特徴を有している。誘電体バリア放電を用いるとベンゼンやトルエンからフェノールが合成でき,フェノール合成にはDBD中のOHラジカルが重要な役割を持つことを実験的に明らかにし,第1原理MD計算からその妥当性を検証した。プラズマ内には様々な励起状態のラジカルが存在し,プラズマ反応ではこれらのラジカルの存在を知ることは重要である。そこで,深紫外LEDを用いた蛍光分光測定により,誘電体バリア放電中の基底状態のOHラジカルの確認を行った。LEDの有無による発光スペクトルの差を求めたところ基底状態のOHラジカルの蛍光を示す312 nmの発光を確認した。水分量の違いによる誘電体バリア放電の発光スペクトルを測定し,OHラジカルの回転温度を求めたところ,水分量によって変化がみられ,水分量が少ないほど温度上昇は抑制され,発光強度は大きくなる。 セルロースの分解時に得られるヒドロキシメチルフルフラール(HMF)の収率をあげるために,超音波による前処理法を提案した。紙を直接,超音波ホーンによる接触振動によっる前処理を施すと,その後,セルロース成分の分解速度が増加した。 最後に,セルロースを高周波液中プラズマによって分解し,回収する水素ガスの生成効率を促進させる目的で,電解質中に分散させたセルロースの分解実験を実施した。電解質溶液は導電性が高く,プラズマ放電領域が純水の場合と比べて大きく,セルロースの分解量が増加する。電解質の濃度が高いほど,プラズマによる溶液のガス生成速度は上昇する。高周波電場ではイオンが電極に衝突し,より多くの電子放出が起こり,プラズマの発生が容易になって放電のサイズが増加し,セルロースの分解量が促進する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液中プラズマ反応場での化学反応プロセスを実験的,解析的に明らかにし,メカニズムの解明という点は一定の結果を得ている。ベンゼンやトルエンからフェノールが1段階プロセスで合成できることが明らかになった。一方で,バイオマスなどのプラズマ分解実験を想定して実施している,セルロースの分解実験では,水素などの燃料ガスにガス化することには成功しているが,まだ,セルロースをグルコースに単糖化させることに成功していない。今後,プラズマ内への触媒投入などを検討していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)芳香族化合物からのフェノール合成の収率向上に関する関する考察 (2)セルロースをグルコースに単糖化するプロセスの検討
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