2015 Fiscal Year Research-status Report
デューティ比デジタル制御法によるリチウムイオンキャパシタ蓄電技術
Project/Area Number |
15K05964
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
中田 俊司 近畿大学, 工学部, 准教授 (40506218)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スーパーキャパシタ / パワーエレクトロニクス / デジタル制御 / エネルギー散逸 |
Outline of Annual Research Achievements |
スーパーキャパシタ(電気二重層キャパシタ)において、エネルギーロスの無い充放電を行うために、インダクタとスイッチングトランジスタを用い、スイッチングトランジスタのデューティ比をデジタル的に制御して充電を行う回路の研究を進めた。デューティ比をデジタル的に制御するために、PIC16F627Aを用い、C言語を用いて32段階のデューティ比制御のプログラムを作成し、PICへの書き込みを行った。このPICの出力信号をpMOSとnMOSの2個のパワーMOSFETのゲートに入力させ、デジタル的にパワーMOSFETのON, OFF制御を実現した。これらのパワーMOSFETとインダクタを接続することにより、定電圧電源からキャパシタへの急激な電流の流れをデジタル的に抑制することを実現した。
この提案回路が充電時において、エネルギーロスがどの程度低減されたかを明らかにするために、エネルギー効率を実験的に明らかにする方法を検討した。エネルギー効率は、キャパシタに蓄電されている蓄電エネルギーを電源の行った仕事で除することにより求められる。電源の行った仕事は、電源から流れ出る電流を測定し、これに電源電圧を乗じることで得られる。この方法により、充電時間を決めた時に、ステップ数の関数としてエネルギー効率を実験的に導出する手法を確立した。またエネルギーロスは電源の行った仕事からキャパシタの蓄電エネルギーを差し引くことにより得られることを実験的に明確にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
32段階のデューティ比制御のプログラムを作成し、3%単位でのデューティ比制御を実現した。このC言語のプログラムを書き換えることにより、容易に1%単位のデューティ比制御が可能となる。またPICの制御により、インダクタからの出力電圧がデジタル的に制御できることを確認した。エネルギーロスについては、エネルギー効率を実験的に求め、これから導出した。エネルギー効率については、電源から流れ出る電流、キャパシタへ流れ込む電流、キャパシタの充電電圧について3個のデジタルマルチメータでリアルタイムに測定し、これらをパーソナルコンピュータに取り込むことにより求める手法を確立した。これにより充電時間を一定とした場合に、蓄電されるエネルギーとエネルギーロスをステップ数の関数として実験的に求めることが可能となった。またエネルギーロスはステップ数を多くすることにより低減できることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度はデューティ比制御の分解能を0.1%程度とするために、dsPICマイコンを用いてデューティ比制御のためのPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成することを検討する。このとき1000ステップ程度が可能であるので、50 Vの定電圧電源を用いた時に、50 mVのステップ電圧変化を実現するとともに、充電電流を測定して、エネルギーロスが大きく低減することを確認する。また、これと並行して、双方向DC-DCコンバータの動作を実現することにより、充電のみならず蓄電エネルギーの放電特性について解析を行う。また、蓄電デバイスを電気二重層キャパシタからリチウムイオンキャパシタとし、充放電特性の実験および解析を進める。またリチウムイオンキャパシタの電荷保持特性についても明確にする。
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