2016 Fiscal Year Research-status Report
カーボンのミクロ・ナノ空間を利用した超高容量リチウムイオン電池用電極材料の開発
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15K06004
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
押田 京一 長野工業高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (90224229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板屋 智之 長野工業高等専門学校, 一般科, 教授 (80263961)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノコンポジット / 電界紡糸 / 多孔質材料 / カーボン / セルロース / 透過電子顕微鏡 / 画像処理 / 電極 |
Outline of Annual Research Achievements |
異なる先駆体を単独あるいは混合することにより,微細空間を有する炭素材料を電界紡糸と炭素化により調製し,そのミクロ・ナノ空間を利用した高性能電極材料の開発を行った.セルロース誘導体であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含むポリアクリルニトリル(PAN)ナノファイバを作製することができた.PANは水に溶解しないのに対し,HPCは水に溶解することから,得られたHPC含有PAN系ファイバからHPCを水に抽出除去し,さらに炭素化することにより,微細空間を有する炭素ナノファイバを作製することができた. 電界紡糸して作成したのち炭素化したカーボンナノファイバの形状を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し,その直径が200~300nmであり,ナノ効果が期待できることがわかった.内部構造を透過電子顕微鏡(TEM)で観察し,電界紡糸して炭素化した状態で,炭素六画網面が絡み合ったマイクロ孔(2nm以下)が多数存在することがわかった.また,異種の物質を混ぜ合わせることにより,さらに孔径の大きいメソ孔(2~50nm)が形成され,異なる孔径の細孔ネットワークを形成することに成功した.これらを画像処理により定量的に解析し,内部組織や構造を把握できた. ナノセルロースとピッチを混合し,賦活処理を行わない炭素複合電極を用いた電気二重層キャパシタ(EDLC)の特性について評価し,容量を高めることができた.同カーボンファイバを電極とした電気二重層キャパシタを試作して性能評価を行い,製造条件が求められた. 農産物残渣である豆類種皮(落花生殻)に着目して,熱処理によって得られた炭素体から活性炭を調製し,これをEDLC電極に使用してその電気的ならびに電気化学的特性について検討した.落花生殻が700℃および1000℃の各試料でもみ殻より高い静電容量を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に導入した設備備品である電界紡糸装置を用いて,ナノファイバを電界紡糸により安定して製造できるようになった.ポリアクリルニトリル(PAN)をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した溶液等を用いて電界紡糸を行って製造したナノファイバを耐炎化または不融化した後,炭素化を行っている.当初炭素化過程で試料がなくなるなど実験が上手く行かなかったが,専門家に相談するなどして炭素化したナノファイバの収率を上げることができた. 当初の予定通り,セルロース誘導体であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含むポリアクリルニトリルを電界紡糸によって作製し,その後,HPCを水に抽出除去してから炭素化することにより,微細空間を有するカーボンナノファイバを作製した.これらを電子顕微鏡で観察し,画像処理による構造解析を行った.これによりメソ孔(2~50nm)およびそれより大きな項を,カーボンナノファイバ内に形成でき,ナノファイバ間の空間を含めた,大きな項からメソ孔までの連続する孔組織を形成することができた. 以上のようにナノセルロースとピッチを混合し,賦活処理を行わない炭素複合電極を用いた電気二重層キャパシタの特性について評価し,容量を高めることができた.同カーボンファイバを電極とした電気二重層キャパシタを試作して性能評価を行い,製造条件の違いによる特性を得た. セルロースを含むPAN系ナノファイバの作製はできなかった.これは,セルロースを溶かす溶媒が限られているため,紡糸液の調製が難しかったためである.セルロースを溶解させることが知られているイオン性液体を利用してPAN,セルロースとイオン性液体を含む紡糸液を準備して紡糸を行ったが,連続して紡糸を行うことができなかった.また,ナノセルロースの水分散液を利用することも考えたが,PANが水に溶解しないために,紡糸液の調製ができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
電界紡糸により作製したナノファイバを加圧しながら通電加熱することにより,微細空間を制御した機能性炭素材料を作成する.ナノファイバの直径は,およそ200~300nmであり,ファイバ同士が絡み合うことにより,さらに大きな空間が存在する.本研究では,加圧しながら通電加熱することにより,ファイバ間の空間を制御して,メソ孔を有する炭素材料を作成し,ミクロ孔とメソ孔がつながった多次元構造の機能性多孔質炭素材料を作成する.メソ孔を増やすためマトリクス材料としてポリアクリロニトリル(PAN)を,酸化マグネシウム(MGO),ナノセルロース等を利用することにより,カーボン材料化に取り組む.さらに,メソ孔につながるマイクロ孔を増やすため,KOHまたはNaOHを用いた薬品賦活も行う. このように形成した微細空間を利用してグラファイトの10倍以上の充放電容量を持つシリコン結晶をこの空間内に形成する実験を行う.リチウム(Li)の充放電時におけるSiの体積変化を吸収することにより,サイクル特性の優れた革新的超高容量LIBの実現につなげる. このため,異種物質としてSiを有するTetraethyl orthosilicate(TEOS)をPANに混合して電界紡糸を行い,Siを含むカーボンナノファイバを作成する.Si結晶微粒子をPAN-DMF溶液に分散し,電界紡糸によりSi結晶を内包するカーボンナノファイバを作成する.さらに作成したナノファイバ間に振動させて挿入して,Siをカーボンファイバ内外に含む電極を構成する.Si結晶はナノファイバの炭素化前,あるいは炭素化した後にナノファイバ間への挿入を試みる.ナノファイバ間の空間制御を行うため,Si結晶を入れた後,加圧しながら通電加熱をすることも行う.
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Causes of Carryover |
消耗品費等,予定していた額より低価格で購入できたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度の残額が少ないので,次年度の消耗品費等の購入に使用する.
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[Presentation] Development of high performance nanocarbon composites by using agricultural products2016
Author(s)
K. Oshida, K. Osawa, T. Itaya, M. Murata, T. Minamizawa, T. Fujisawa, T. Murakami, S. Nakajyo, K. Takeuchi, M. Fujishige, M. Endo, T. Hata, Y. Suda
Organizer
The World Conference on Carbon (CARBON2016)
Place of Presentation
State College, Pennsylvania, USA
Year and Date
2016-07-10 – 2016-07-15
Int'l Joint Research
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