2016 Fiscal Year Research-status Report
空間位置情報を用いた電波伝搬推定とその可視化に関する研究
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15K06083
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
白井 宏 中央大学, 理工学部, 教授 (00196594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 亮一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (00293184)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電波伝搬推定 / 可視化 / 空間位置情報 / 光線近似 / GTD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大都市空間における高速かつ高品質な情報通信サービスの提供に向けて、複雑な建造物の空間位置情報を効果的に用いて、電波伝搬の予測を高速に行い、その予測結果をわかりやすく可視化して表示するシステムの構築を目的としている。 平成27年度から開始した本研究課題は前年度の調査により、伝搬予測には建物と携帯電話の使用周波数を考えると、建物の大きさが使用波長に比べて相対的に大きくなる場合に相当するので、高周波漸近解法を用いることが適当であるという判断をした。そこで広域の伝搬量の推定のためにShooting and Bouncing Rays Method (SBR法)を用いて計算アルゴリズムを検討し、建物による電波の散乱を解析した。その結果建物外に波源と観測点が存在する場合についての伝搬推定は、建物壁による反射波と回折波の影響を入れることにより、精度良く解析できることがわかった。 平成28年度においては、観測点の位置を室内として建物壁を透過して伝搬する電波の強さの予測を主に行った。建物の内部の壁の状況は外壁に比べて複雑になっているのが普通であり、空き部屋のような何もない空間なら解析も比較的容易であるが、室内設置物まで考慮すると、計算量が非常に増えるため、高速に解析するアルゴリズムの開発が必要であることがわかった。また建物の壁の透過量を推定するためには、壁材の電気的な性質である誘電率を測定で推定するための方法とそれに用いる測定用のアンテナも考案した。 更に主な室内外の伝搬路となる建物壁の窓による電波の回折量の推定法についても検討し、二次元モデルとなる誘電体装荷の厚みのあるスリットによる平面電磁波の回折を定式化し、他解法との比較により精度が高い手法であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度と同様に今年度の研究も概ね順調に進んでいるので、特に予定した研究計画を変更する必要はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究により、室内の壁等によって反射・透過する電波の追跡アルゴリズムはほぼ完成しているが、室内の壁エッジによる回折波の寄与の計算アルゴリズムがまだ完成していないので、それを組み入れて、どの程度の多重反射・透過・回折波までを考慮すべきか検討する。 さらに窓を通した電波伝搬量の推定精度を高めるために、前年度行った厚みのある2次元スリットによる回折計算を3次元に拡張して方形開口による電波回折量の解析を試みる。 加えて平成29年度は本研究の最終年度であるので、研究総括をする。
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Causes of Carryover |
物品費や謝金については、若干の経費節約ができたので、次年度へ繰り越して使いたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した金額は、為替の変動によって国際会議等へ科研費の成果報告を発表する時の旅費の金額が変化する可能性があるので、旅費の項目に割り当てたいと考えている。
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