2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K06133
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
劉 康志 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70240413)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 不確かさのゲイン情報 / 不確かさの位相情報 / ロバスト性能 / 正実性 / 虚負性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、ロバスト制御においていまだ完成していない、保守性のないロバスト性能設計問題の最終解決を目指すものである。今年度の研究において、以下の成果が得られた。 1.プラント不確かさに関する情報とロバスト性能指標を直接結び付けるための方法を発見できた。この方法とは、両者をその入出力を媒体に周波数域のS-Procedureで合体させるものである。S-Procedureは古くから知られているが、その応用は主に時間領域に限定されたものであり、Lyapunov関数と密接に関連した形で用いられている。そのため、周波数応答で特徴づけられている不確かさ及び性能仕様との親和性が悪い。 2.ゲイン情報が利用できる不確かさに対して、上記方法でロバスト性能の設計条件を導出し、線形行列不等式による設計アルゴリズムを確立した。 3.同様に、位相が±90度以内、あるいは0~-180度以内で変化する不確かさ(それぞれ正実性質、虚負性質と呼ばれる)に対して、上記方法でロバスト性能の設計条件を導出し、線形行列不等式による設計アルゴリズムを確立した。 4.確立されたロバスト性能設計理論を1)ハードディスクのヘッド位置決め制御、2)エンジンベンチのトルク制御に適用した。前者は高次振動モードを多数持つものであり、後者はエンジンクラッチの切り替えによる非線形バネ特性を有する。本理論の内、特に不確かさの位相特性に立脚した設計法を応用した結果、従来不確かさのゲイン情報に基づくロバスト理論の中で最高の性能を誇るμ設計を遥かに凌ぐ制御系が設計できた。これによって、本理論の実用性、優位性を実証できた。 以上に述べた成果は、予想を超えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、H27年度中に 1)ノルム有界型の不確かさを持つシステム、 2)正実型不確かさを持つシステム に対するロバスト性能設計理論を完成させる予定であったが、H28年度に実施する予定の虚負型不確かさを持つシステムに対するロバスト性能設計理論まで完成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べた結果1の方法は、パラメータ不確かさを持つシステムのロバスト性能設計にも使用可能で、このテーマを新たに研究課題に加え平成28年度に進めていく。 ゲインと位相情報を共に利用可能な不確かさを持つシステムや異なるタイプの不確かさが複数存在するシステムに対するロバスト性能の研究に関しては、解析的な手法に限界があることが分かってきた。そこで、数値探索の手法をこれらの課題に持ち込む方向に研究を展開する計画である。具体的なアイデアは既に持っている。
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Causes of Carryover |
3月出張の旅費確定が遅いため、多少余裕をもって使用した結果、少額の繰越金が生じたわけです。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はできるだけ速やかに予算を執行するようにします。
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Research Products
(18 results)