2016 Fiscal Year Research-status Report
超音波法を用いたRC部材の鉄筋腐食劣化の潜伏期から加速期までの定量化手法の確立
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15K06166
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
渡邉 健 徳島大学, 大学院理工学研究部, 准教授 (50332812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 親典 徳島大学, 大学院理工学研究部, 教授 (10180829)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超音波法 / 鉄筋腐食 / ひび割れ / 微細ひび割れ / AE法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋腐食を,非破壊試験方法の一つである超音波試験を用いて評価するものである。目的の一つは,予防保全的手法として,腐食をコンクリート表面にひび割れや錆汁などの変状が目視によって確認されるよりも早く検出する方法の確立である。また,もう一つの目的としては,表面にひび割れが確認された後に,鉄筋の腐食量・断面減少率や腐食によるコンクリートの劣化を定量的に評価する手法を確立することである。 本年度においては,目的の一つである予防保全的な観点より,コンクリート供試体表面でのひび割れの目視確認よりも早くに超音波法にて検出できたという昨年度の結果について,再び実験供試体を作製し実験を実施することにより,ひび割れ検出方法の再現性ならびにその有用性について検討を行った。 また,弾性波を用いた非破壊試験法補の一つであるAE(アコースティック・エミッション)法を併用することを試みた。この手法はコンクリート内部で生じる微小ひび割れ(マイクロクラック)によって放出される弾性波を検出する手法であり,鉄筋腐食による鉄筋近傍の腐食およびそれに伴う内部ひび割れの挙動のモニタリングを行った。 実験の結果,超音波法により,ひび割れがコンクリート表面に顕在化するよりも早い段階で超音波波形の変化が確認することができた。その際,波形パラメータである弾性波の速度やエネルギーの低下が,鉄筋腐食に起因して生じている可能性が高いことがAE法による内部の微細ひび割れのモニタリングにより示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主な研究目的である,鉄筋腐食に起因する内部ひび割れを,まだ目視によっては変状が生じていない段階において,超音波法で検出することができた。このことは,昨年度の研究成果とも同様の傾向であり,手法の有用性ならびに再現性について示すことができたと考えている。また,AE法による微細ひび割れの検出を行ったことにより,超音波による検出可能な劣化段階およびその適用の範囲について検討が進みつつあると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
腐食による劣化の進行について,潜伏期から加速期程度までの評価ができている。 一方で,劣化が進んだあとの鉄筋腐食量の定量化の課題が残っている。これらの評価については,実現場では補修作業とセットで考えられており,その際は鉄筋を覆うかぶり部分のコンクリートをはつりとって内部の鉄筋を評価しているのが現状である。よって,現場ニーズとして,どのような劣化現象を評価することが有用であるかを再度確認を行いたい。また,他の非破壊試験方法との組み合わせを検討することにより,総合的な鉄筋腐食の評価につなげることを検討したい。
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Research Products
(8 results)