2015 Fiscal Year Research-status Report
マルチコプターから撮影された情報の知的画像解析による河川現地計測の新展開
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15K06234
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤田 一郎 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10127392)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 河川流計測 / マルチコプター / STIV / PIV / 知的画像解析 / 河川植生 / 湾曲部流れ / ドローン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,無線操縦のマルチコプター(最近ではドローンと呼ばれることが多くなった)から撮影した静止画像やビデオ画像を高度なレベルで利用可能とするソフトウェアを開発し,河川の広範囲に渡る環境および流況の調査を行うことを目的として現地計測に基づく研究を遂行した.対象は兵庫県を流れる揖保川の中流域にある大きな湾曲部で,内岸側に発達した砂州には季節によって多様な植生が繁茂するが,洪水後にはそれらが流失する状況が繰り返されている地点である.まず,地形計測に関しては,以前の2013年度に実施して得ていたステレオ画像地形計測と,その後毎秒1000トン規模の出水があった2015年度における結果の比較から砂州上の詳細な河床変動を明らかにした.すなわち,砂州上において縦筋状に河床低下する現象を見出し,洗掘された土砂が湾曲部下流側で堆積状況を示した.河床の粒度分布については,マルチコプターによる撮影高度を様々に変化させて垂直撮影した画像を組み合わせて粒径分布に関する画像計測を行い,砂州表面における粒度分布を詳細に得た.その結果,洪水前後で粗粒化する場所と細粒分が堆積する場所があることを明らかにした.洪水前後での粒度分布の比較や個別の大礫の移動についても調査し,洪水時に砂州上に作用した掃流力の推定を行った.河川表面流の画像計測に関しては,いわゆる知的画像解析と呼ばれる最新のアルゴリズム(SIFTやRIPOCなど)を組み合わせたブレ補正プログラムを完成させた.これにより,ホバリング状態で河川流を垂直撮影した映像に含まれるブレを自動的に補正することができるようになった.数値解析に関しては,固定床と見なして行った二次元浅水流解析結果がSTIVによる結果とほぼ一致した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,植生と粒度分布の現地計測,表面流速分布の現地計測,および数値シミュレーションによる検証の3つの事項について検討することを当初の目的としていたが,どの事項に関しても2,3の点を除けば,ほぼ順調に研究を進めることができている.すなわち,ステレオ画像解析から植生分布を求めることは実現できていない.また,平水時にトレーサを散布し,2台のマルチコプターで長区間(400m以上)の表面流速分布を求めることはトレーサの散布が当初考えていたより容易ではなかったため,短い区間での局所的な計測に留まった.数値シミュレーションに関しては,固定床としての解析は良好であったが,移動床解析に関してはまだ十分な結果が得られていない.それ以外の事項についての進捗状況は実績の概要に記したように良好と判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も洪水期の前と洪水後に現地における空中撮影をマルチコプターで実施し,湾曲部での河床変動に関する詳細についてステレオ画像計測に基づく検討を行う.植生分布に関しては,昨年度よりは撮影回数の頻度を増やし,季節変化に関する検討を行う.また,マルチコプターの撮影画像に含まれるブレの補正は移動撮影に対するモードへも拡充するように画像解析のアルゴリズムを大幅に変更する予定で,過去に洪水時の表面流を撮影していたが,ブレのために解析できなかったビデオ画像などに対して適用させ,その有用性について検討する.数値解析に関しては混合粒径に対応した浅水流モデルの適用可能性について調べる予定である.
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